見出し画像

ともこ、映画絵日記をかく 其の11『水を抱く女』

ギリシャ神話の水の妖精ウンディーネの物語は、1800年代以降、小説にオペラにクラシック音楽に…と、ジャンルを越えて芸術家達のモチーフになり続けて来たらしい

私も漫画家·山岸凉子の短編『ウンディーネ』を持っている

アンデルセン童話の人魚姫も、ウンディーネがモデルになっているそう

おそらく西洋の人々にとっては、日本人にとってかぐや姫が月から来た宇宙人ってことと同じくらい、常識なのだろう
ウンディーネは人間を愛し、そして不幸な道を辿る…

だからクリスティアン・ペッツォルト監督も解りやすく説明はしてくれない
日本人にはちょっとばかり解説が必要かも
ウンディーネは、愛する男に裏切られたらその男を殺し、水の妖精に戻らなくてはいけない

では、愛した男が2人いた場合は?
振られて殺す前に、別の男を愛してしまったら?

愛が激しい程、強くなる
残酷にもなれる
陽の光の届かない水の底で、妖精はその美しさを誰からも讃えられずに暮らしていくのだろうか?

さて、パウラ・ベーア
彼女を初めて観たのは、フランソワ・オゾン監督の『婚約者の友人』
5年前、21歳
まだどこか硬さの残る清楚な女の子だった
去年観た『ある画家の数奇な運命』
画家の妻でありミューズでもある役
彼女の屈託のない笑顔
美しさ明朗さが物語の重要なポイントだった

そして今回の妖艶な水の妖精
ひとりの女優の成長を観るのは楽しい
次回作が楽しみ…なんて、ありきたりな言葉では表せない
化けるか、突き抜けるか、とにかく驚くほどの変化を世界に見せつけて欲しい

2021年5月6日 F市Kシネマにて鑑賞

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?