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若さが誘う生と死、そして恋の物語。「マーブルビターチョコレート」レビュー

初めまして、漫画が好きなぬまたです。
今回は恋なの?好奇心なの?
女性同士の繋がりを書いた「マーブルビターチョコレート」をあらすじを交えてレビューしていきます!

■あらすじ

ふたりで抜け出しましょうよ。こんな世界。

かわいいと楽しいだけの人生を求め、男性から経済援助を受ける"パパ活"を繰り返す、りこ。
経済援助が行えなくなった男性に代わり、新しい相手を探す彼女の元に、下心が感じない紳士的なメールの連絡が。
そのやり取りに好感を持ち、新しいパパと待ち合わせをすることになったりこ。
しかし彼女の前に現れた新しいパパは、眼鏡をかけた知的な印象の女性・東だった。


パパ活を利用する女性は何を求めているのだろうか。
恋愛対象が女の人なのか、肉体的な関係になりたいのか・・・。
りこの疑問に東はこう答える。

「私は貴方の事が知りたいんですよ」
(マーブルビターチョコレート 本文引用)

見た目も考え方も何もかもが対照的なふたり。
化粧品を見ている時でさえ、選んだものへの反応は正反対。
派手な化粧品が嫌ならマニキュアは?と東に尋ねるりこ。
しかし小さい頃から爪を噛む癖があった東は、その小さな爪がコンプレックスで・・・。

「ちっちゃな爪も可愛いですよ
色んな色で塗ったらマーブルチョコみたいで可愛くないですか?」

(マーブルビターチョコレート 本文引用)

パパ活とは何なのか。
男性と待ち合わせをして、欲しいものを買ってもらって、食事に行って、昔の武勇伝を聞いて...
パパ活とはパパの"話を聞くこと"だとりこは言う。

「みーんな寂しい人達なの」

パパ活を利用する男性の多くは役職や父親といった"役割"を持つ大人ばかり。
責任感が伴う立場故に純粋に楽しむことが難しくなる。
だからこそ、りこのようなパパ活女子、言わば他人に武勇伝や自慢話といった嫌われる話をすることで寂しさを紛らわせているのだという。

「貴方も寂しかったりするんですか?
東さんの話も私 聞きますよ」

(マーブルビターチョコレート 本文引用)

時間を共有し触れ合うにつれ、互いのことを知り、距離が近づいていくふたり。
しかし東には「パパ活ルポルタージュ」を執筆するという裏の目的があり……。

⚫作者さん公式Twitterで1話試し読みが掲載されてますので是非!!

■感想

作品名である「マーブルチョコレート」のように色鮮やかな美しい物の中に、ビターな秘密が隠れている。秘密には熱がなく、温かさを知ってしまうと溶けてもとには戻らないーー。
そんな人間の"寂しさ"が描かれていた作品でした。

自分を売る(=消費)する女、他者を見世物にする女。
違うようで似ているふたりの人生観の対比が物語の残酷さをよく表現していました。
キャラクターの心情の明暗等、ふたりを対比しているシーンも多いので注目するとより楽しめるかもしれません。
想像を超えるラストは圧巻で、まさに若さが誘う生と死、そして恋の物語だった。

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