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求めているのは海か、空か

海が好きだ。
訳もなく海へ行ったり、フィルムカメラの少し余らせてしまったフィルムに海を写したりするくらいには。

自分を、海の底にいるみたいだ、と思うこともあった。というか、現在進行形で思っているかもしれない。
精神状態が悪いときは、深い海の底に自分は置いて行かれて浮き上がる自信も気力もないままいつまでも深いところで動けずにいるような感覚に陥っていた。
もがくのが苦しいことやそのまま漂っていても誰にも見つけてもらえないことが深海で漂うことになんとなく似ているから、似ていると思っているからそう思うのだろう。波に揺られて何もしないでいるのが一番心地いいことも、波間に差す光をうらやましいと思うことも。

ただふと、そうやって海の底にいることを気持ちの落ち込みに例えて、地上にいる人々や太陽の光をうらやましいと思うことは海への憧れではなくて空への憧れなのではないかと思ってしまった。水底から水面へ浮かび上がることを夢見ているのならそれは海を捨てたいという欲求なのではないかとぼんやり考えてしまった。
まあ、海の底で沈み続けていたいと思う人はきっと少ないだろうし、それが好きか嫌いかというのは少し論点がズレているかもしれないが、ただ好きだと思っている海のことをないがしろにしているような気もしてしまってふと考えてしまったのだ。

私が求めているのは、空に飛びあがることか、海を好きだと言いながら空に憧れているのか。せめて大地を踏みしめるところまで浮かび上がりたいと思っているのか。私は海が好きなのか。
いつまでも海の底にいることにそろそろ疲れてしまっているのかもしれない、なんて。海岸から眺める海を感じたいのかもしれない、なんて。
そんなことを思う。


気が向いたら、どうぞ。そこまでの感情にさせられたなら嬉しいです。