わたしの

"This is your moment"
なんて素敵な言葉だろう、と思う。BGT、イギリスの大好きなオーディション番組。審査員が出演者を勇気づけるために、よく使うフレーズ。あなたのための時間、あなたのためのステージ。

警察になりたかった。自分の性格を見て、どう考えても無理で早々に諦めた。

医師になりたかった。数Aで躓いた。もともと数学は苦手だったけれど、図形が輪にかけてだめだった。

トリマーさんになりたかった。動物、特に犬を本当に愛していたけれど、動物アレルギーだった。

獣医になりたかった。動物も理系も受け付けない体質だった。

なりたいものはたくさんあった。幼い頃はなんでもなれた。おままごとのときの自分を取り戻せたら、とか。なんにもなれなかったから、考えてしまう。

なんか、努力しても意味ないな、とか、頑張りが足りないなあ、とか。もう自分が誰だかわからなくて。ふと、文章を書きたいなと思った。
日記を書いたけど、13日間で心が折れた。だって、日記を続けられるような性格ならきっともっと良い人生を送っているよ。わたしの人生は好きな先生、好きな友人たちに会えた時点で正解だけど。正解だけど、日記は無理だった。
ああ、詩があるじゃん。小説があるじゃん。図書館の帰り。思いついた。
もともと文章を書くのは大好きだった。小3から中1までゆっくりと書いていた拙い小説は、今でも机にしまってある。捨てるのも忍びなくて。
書いては消して、書いては消して。たくさん、いろんなことを思い出した。なりたくて、なれなかったもの。手に入れたもの、入れられなかったもの。好きだった人、嫌いだった人。大切な友人たちのこと。大好きな君のこと。

これが、わたしの人生だといえる日はくるのだろうか。それほど満足できる日はくるのかな。自分のことだけ考えて、それを文にしているときだけはわたしの時間だと思えた。ここがわたしの場所だと思った。わたしのためのわたしの文章が、いつかのわたしを救えますように。なんてまあ笑っちゃうようなまぼろしだけど。

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