伝説の継承/「BURN MY SOUL」イベスト感想

はじめに

 この記事はプロジェクトセカイのイベント「BURN MY SOUL」イベストの感想です。すっかり熱気にやられてビビバスポエムマンになってしまった。

※読めていないキーストーリー以外の話やサイドストーリーも多いため、把握漏れのある情報もあるかもしれません。どうかご容赦ください……。

継承の物語

 今回のイベストは一言でいえば「継承」だ。謙から彰人へ、RADderからVivid BAD SQUADへの継承。しかし「何を」となれば一言では語れないだろう。技術、精神、覚悟。
 RADderが生み出したのは単なる「伝説的なイベント」ではない。RAD WEEKENDの命を燃やしたような熱は、実際会場にいた者から、そうでない者、街の人間へと伝播した。語り継がれ、その頃まだ幼かった少年少女にまで伝わった。過去の出来事になってなお、ビビッドストリートを形作る空気そのもののように溶け込みながら、誰かに火をつけて回っている。
 例に違わずビビバスもその火を灯された。ついこの間までビビバスは「伝説の萌芽」だった。今は違う。亡き凪からの夢を受け取り、大河の本気を前にして折れず、謙から全力のサポートを受け、先だけを見据えている。
 今やVivid BAD SQUADは夢見る少年少女などではない。「伝説の再来」であり、それを人々に認めさせるための決戦は近い。

それぞれの師

 RADderの着けた火はある種、呪いだ。苦しくても、もう嫌でも辛くても、諦められない。進むしかない道。誰が見ても明らかな才能ある者以外にとっては、特に苦しい道だ。

 小豆沢こはねという天才には「天才として上り詰めた」師が必要だった。古瀧大河がそうだった。彼がこはねに、自身に秘められている力を存分に振るうための術を授けた。だからこはねは仲間と共にさらに先へ進める。孤独な『いっぴき』になることは無いだろう。

 東雲彰人は努力の人だ。血の滲むような努力の先で、苦しんで足掻いて、彼は自身の歌を歌う。当然それだけ研鑽を重ねた歌は良いものになるが、歌という物はそれだけではない。自身に「進むための苦しみ」という枷を設けてしまっていた彼に必要だったのは「どれだけ苦しんで這いずり回っても諦めないで伝説に至った」師

 謙について、大河も凪も「クールだが熱い歌を歌う」というような評をしていたが、彼の歌を形作っているのは「死に物狂いの努力」という、単なる冷静さとは到底かけ離れたものだった。(若い頃に顕著だったすかした雰囲気からは想像もつかない)
 その歌の本質に気が付くのは、死に物狂いの努力でここまで駆けてきた少年だった。彼は彰人と似ていた。

新たな熱は広がり始めている

 彰人の心にどうしようもない火を灯し歌の道に導いたのは、白石謙その人だ。彼を前にして彰人は思う。
「あんたがいたからオレはここにこうして立ってる」
「あの夜つけられた火は今も、オレの中で燃え続けてる。感謝してもしきれねえ。だから———だからオレはあんたを超える
 そしてここまで必死に進んできた自身の真ん中に残る「あの夜を超えたい」という思いを、改めて痛感したのだ。

 一方で、この街で伝説の灯火を胸に抱えながら、その呪いに苦しむ少年がいた。三田洸太郎もまた、あの夜の熱に取り憑かれ歌の道を進む一人だが、彰人たちほどタフではなかったし、臆病だった。
 しかし彼もただ弱い訳ではない。彼なりに進んだ道があるし、妬みでVividsを妨害したこともあったが、反省し歌に向き合おうとしている。むしろビビバスの結束や覚悟の方が並外れているのであって、普通の感覚で言ったら洸太郎のような嫉妬や恐怖を抱えて当然だろう。

「次のイベントで、RAD WEEKENDを超える!!」
彰人の言葉に、オレも、と思いかけて彼は躊躇する。自分の行い。実力。何よりその覚悟が自分にあるのか?できるのか?しかし、それでも諦めたくない。このままの自分では嫌だ。
 三田は彰人の歌と言葉で、恐怖や迷いを塗り替えるほどの「それでも諦めたくない、超えたい」思いを自覚した。彰人の歌が、三田の心に再び火を灯した。
 既に新たな伝説は始まっていて、新たな火を灯しはじめている。

ざっくり感想

 ここまで書いたのもイベストの内容に脳を焼かれた結果、素直に抽出されたものではあったが、いかんせんポエムだったので、あとはオタクがざっくばらんに言いたい事を書き留めます。熱入りすぎちゃったし。

 少年漫画の修行編すぎる。アツ……。大河、凪の話は前回イベントまでで念入りに描かれたが、ここで改めて物語開始時点から身近だった謙の凄さがきっちりと示されるのが熱すぎる。最初はただ「杏ちゃんのお父さん」程の印象だった謙が、本当に実力者であると改めて痛感する。みんな好きじゃん。最初そこまで印象的じゃなかったおっさんキャラが実力者だってわかっちゃうヤツは。
 それも、彰人にとっての謙という、憧れの人であり師として描かれる。彰人との歌を介した応酬に痺れた。

 しかし、白石謙。大変だ。なぜなら
かつての伝説・一介のカフェ店長・憧れの人・師・「娘の頑張ってる活動のためにみんなに車を出してくれる優しい友達のお父さん」
 
これ全部ひとりでやってるから。(あと「若い頃はすかした野郎だった」とかもある。何?)
 今になって「友達のお父さん」の質感やめてくれよ。友達の親の車に乗せてもらったとき特有の、家庭と友人間の空気が入り混じった絶妙な感じ。思い出しちゃったじゃん。(散々店に集合してるしビビバスは微妙な空気になる事無いだろうけど)

やばいな……。いいなあ謙さんの車。

 ビビバスルカ、良かった。
ふにゃっとした不思議お姉さんだが。「お姉さん」部分がガチめに機能していて、新しい味がする………。彰人の強さと現状を見抜いて、自身の歌とセンスでフィーリングに教え込み、その上で「感覚を掴めたならそれをぶつけるのは私じゃない」と告げる。ルカ姉……!やっぱりビビバスのバーチャルシンガーたちはカッコよくて、良い。

 謙、大河の1000倍は指導者に向いている。先述の通りこはねには大河のような“天才として上り詰めてきた”師が必要不可欠だったんだけどさ。ぶっ飛んだ特訓ばかりだったから、誠実に歌で向き合ってくれる謙がめちゃくちゃ良い先生に見える。

三田洸太郎、ナランチャだったかもしれない。
「ブチャラティィィィィ 行くよッ!オレも行くッ!行くんだよォーーーーッ!!」じゃん。
とか思っていたら彰人が「覚悟はあるのか」とか言うので、ブチャラティかよと思い笑ってしまった。
 まあ大げさに解釈して三田は(悩み躊躇した末に「一緒に進む」を選択した点では広義の)ナランチャかもしれないが、彰人はブチャラティではないだろ。

梅とらさん描き下ろしって決定した瞬間も叫んで喜んだが、本当に最高だ。どこまでもついていくぜ、Vivid BAD SQUAD。

「驚くのは まだこれから」!


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