高齢者の延命治療は誰のためだろ。自分自身?家族?

「経口摂取が困難なため鼻からチューブを入れ栄養確保する方法があります。本人もつらいので抹消点滴のみであれば自然な形で終末期を迎えることとなります。」

ご飯がうまく食べられなくなった患者の家族に説明をする医師が、だいたい早口で言ってる言葉。
たしかにそうなんだよ。そうなんだけど大事なことがたくさん抜けてるんだよ、尊厳とか価値観とかそこら辺の説明が不足しすぎなんだよな。

だからなのか家族はわりと経管栄養を選ぶ。なんとか少しでも長く生きてほしいって思うのかな。
若い人であれば理解力良好だし、本人の意思でチューブをいれるか決められる。でも認知の低下した高齢者や意識不明者は家族の意思なんだよね。
その決定をする前に経管栄養を始める患者の現場をみてほしい。
認知機能も低下してるから、自己(/事故)抜去の危険がある。
→手にミトンをつけられる。
ミトンをつけた状態で自己(/事故)抜去した。
→注入中のみ上肢抑制。
手は蒸れてにおうが、Nsやリハがいるときしか外せない
チューブの刺激で痰が増加
→誤嚥性肺炎を繰り返し、身体は痩せる。痰も吸引される。

栄養が入っているから長生きはする。それでも固形物が入っているわけではないから、変な浮腫みかたをする。

もし、経管栄養を選ばず末梢点滴のみを選んだとしても、3日に一回は針を刺し変えなければいけないから、血管固くなるうえに四肢青アザだらけ。

ここまでして生かされてる親御さんは幸せなのか?
日々違和感を感じる。
患者もだんだんミトンを外してと言うことを諦め、自ら手を差し出してくる人さえいる。

食べれなくなるってことは少しずつ身体の中を綺麗にして、最期の準備をしてる段階なんじゃない?ってよく思う。

無理に不必要な栄養やらない選択をしたからって罪悪感を感じる必要はないと思う。
前に連れて帰りたいって家族が突然いいだして、栄養ひとついれず休日に家に帰した患者がいた。大変だったけどやりきった感と幸せに数日間過ごしてほしいって心から思えた自分がいた。実際幸せだったって家族からもお手紙がきた。
私も日々自分の親と話してるけど、命を無理に伸ばすことだけは絶対にやめてほしいって言われてる。
日本人の真面目さがネジ曲がって、変な正義感になって生きさせなければいけない風潮になってるのかな。
家族ももっと看護に参加して悩んでほしいよね、患者たちの終末期のありかたについても。自分の親なんだからさ。
コロナでまだ面会ができないから、よけいに現状を把握しきれない家族も多いと思う。いくら私らが口頭で伝えても所詮はイメージだけ。
栄養あたえれば元通りになると思ってる家族も多いし。
でも事前に話しておくことはできるじゃん。元気なうちに終末期のありかたとか、自分はどうしたいか家族はどうしてほしいかとか。
自分は頭よくないからよくわからんし、偏見なんだけど、、
ただ、看護をしていて頑張ってるねって思うよりも、かわいそうこの人たちって思うことが多いのがむなしい。

経口摂取だけでなくていろんな場面でむなしい。ほんとにむなしい。
内科に勤めてるからなのかな、外科に異動すればむなしい気持ちも減るのかな。

長生きも健康寿命の部分をきちんとみていただきたい。
寝たきり抑制フルコースの長生きなんて、私だったら生き地獄だよ。
どこかで長生きすることだけがいいっていう独り歩き状態が変わらないかな。



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