白い靴 シロクマ文芸部
白い靴の女は姫
白い色は乙女の証
赤い靴の男は護衛
赤い色は 愛の証
二人で目指すは青い城
幸せが住むという青い城
青い城は近くて遠い
鳶色の馬の二頭立て
銀色の馬車が二人を運ぶ
一本道を突き進む
緑の棘のカーテンが
ヒラヒラ チクチク
通せんぼ
馬は前に進めない
黒い魔女が現れて
通さぬ 通さぬと繰り返す
二人は頭を下げて願ったが
魔女は対価が欲しいと繰り返す
ならぬなら同行しろと黒い魔女
黒い服を翻し
姫の横に並んで座る
護衛は魔女の動きを注視する
棘のカーテン光に変わり
見えてきたのは青い城
あたしの家だと魔女は言う
魔女の住まいと初めて知った
魔女に連れられ入城したが
中はハリボテまやかしの城
魔女は青い城と白い靴との交換を
是非に是非にと懇願する
ふと見てみれば
魔女は裸足で立っている
魔女の足は傷だらけ
姫は白い靴を差し出した
魔女の足に白い靴
ピッタリサイズの白い靴
魔女の唱えた不思議な呪文
魔女はどこかに消え去った
ハリボテの城も消えてゆき
二人の前に現れた
夢の色の小さなお城
そこで二人仲良く暮らしたそうな
誰も知らない
黒い魔女の行く末を
白い靴を履くのは黒い魔女
白い色は乙女の証
了
小牧部長
今週も参加させて頂きました。ありがとうございます。