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毛と爪 ショートショート
うららかな春の日差しを背に、若くは無い男が縁側でお昼寝中。静かだ。
いや、話し声がする。耳と目の感度を上げてごらん。聞こえるだろ?見えるだろ?
毛「あぁー、かなり伸びた。いい加減に床屋に行って欲しい」
爪「こっちもだ。最後に切ってもらったのはいつだっけ」
毛「そうか、僕らに必要なのはハサミだね。早く誰でも良いから切って欲しいよ」
毛と爪の会話を聞く者がいた。
「私に任せて」
そう声がした。
声はすれども姿は見えず。
「私は脳、直接、間接にこの男を操っているのよ」
毛、爪「どうするつもり?」
脳「見てなさい」
男は頭がムズムズした。爪で頭を掻こうとしたが、爪に違和感。見て驚いた。なんと指の爪全てが30センチ程に伸びている。
「ギャアー」思わず叫んだ。
髪の毛がズンズン伸びて、身体に巻き付き始めた。
脳「彼が起きたら、あんた達の願いが叶うわ」
だが二人に声は届かず、のたうち回る男から悪夢を切り取るべく、既にハサミを手に立ち上がっていた。
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今回は「毛」と「爪」を使わせ頂きました。
いえいえ、意図はありません。
この二つのワードが、たまたま並んでいただけです。はい、たまたまです😊