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オシッコと青天井


遊布野ユーフさんのページで
トイレができれば旅はできる!


と言うエッセイを読ませて頂きました。
面白いお話で、トイレ話を堪能させて頂きました。ありがとうございます。


トイレの話で、私もスケールは小さいのですが、古い記憶の引き出しの中から浮かんでくるものがありました。思い出しながら書いてみたいと思います。

私がまだ小学生の頃の話です。(半世紀以上、、、前、、。)

夏休みに親元を離れ、一人でひと月ほど母の実家で過ごしました。そこは農家で、工場の建ち並ぶ地で育った私には別世界が広がっていました。

ある日、母の妹である叔母のお供をして、小高い場所にある畑に行きました。

畑の雑草を抜くお手伝いの後、持ってきたお茶やオヤツを分けてくれながら、叔母が言うのです。

「オシッコしたくない?」と。

思わず辺りを見回してみましたが、トイレらしきものはありません。
「どこにあるん?」と、私。
「何処でもいいんよ」と、叔母。
「?」
そうです、ここで用をたそうと言うお誘いだったのです。 

「イヤよ、草ばかりの所で。虫とかヘビが出て来るもん」

すると叔母は言い放ったのです。
「立ってすれば良いんよ」と。

「えー⁈、私もおばちゃんも女よ」
私は立ちションをするのは男の人だけだと思っていました。
まさに青天の霹靂だったと思います。

「お母さんに習わなかったん?お母さんもしてたんよ」
このセリフは私のショックを倍にしました。母にそんな話は聞いた事も無いし、母のそんな姿も想出来ないし、したくもありませんでした。

そんな私の気持ちをよそに、叔母は実演を始めました。
足を少し開いて、体はくの字にし、履いていたモンペを‥[割愛]
何と上手い事!

叔母は言いました。
「ねっ、立ってする方が上品でしょ?
それに、青天井、青天井!」 
爽快を絵に描いたような、叔母の表情。
男だけのものじゃないんだな。

見上げると、抜けるような青空が広がっています。
青天井と言う言葉を、この時知りました。

後に、母に聞くと
当時、近所の農家の女達は皆んな、できたそうです。

貴女は、できますか?

私は残念ですが、できません。

いやいや、昔のお話です。