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理科室まがった 毎週ショートショートnote

珍しく早朝に学校に行った。
廊下を歩いていると、我が校の制服では無い転校生らしい女の子が迷っているようだ。

彼女が早速声をかけてきた。
「あの、職員室はどこですか」
「あ、そこの理科室まがると階段があるので、2階まで行きます。渡り廊下があるので前に見える棟に行き、階段で一階まで降りたら、左に曲がったら渡り廊下が…」

「あの、案内していただけませんか」

彼女は益々不安そうに僕を見た。今、彼女は僕だけしか頼る者がいないのだ。なんて素敵な気分。

「良いですよ、こちらです」

僕は彼女に説明をしたが、校舎のありようがこんなに迷路のようであるはずは無いのだ。転校という緊張の中、彼女は気づかないようだ。

僕はさっき彼女に説明した通りに歩きだした。彼女はホッとした様子。職員室の前に着いた。可愛い彼女とのランデブー。なんて良い日だ。


彼女は僕のクラスに転入した。彼女も僕に気づいたようだ。
理科室まがったらと言ったのが、嘘だとバレるのは時間の問題だ。


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今回のお題は『理科室まがった』なので、作品がダブルかも。その時はゴメンナサイ。


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