タイムスリップコップ2 毎週ショートショートnote
それは嵐のようなタイムスリップだった。
私は自分の部屋で水割りを飲んでいた。
その時、封印したはずの記憶が脳裏に浮かんだのだ。
ただ浮かんだだけでは無い。
今、またあの時間の中に私は立っていた。
私はコップを持ったまま、あの女を見下ろしている。
女が血の海の中に横たわっている。彼女をこんな姿にしたのは3年前の私だ。
封印したはずの記憶、それがこの光景。
という事は、私は犯人として捕まってしまうのか。せっかく3年間逃げ果せたのに。
そうだ、このコップはこの女にもらったものだった。なぜ、思い出しもしなかったのだろう。
このコップをここに残すわけにはいかない。
かと言って、私はどうすればいいのか。
そうだ、3年前逃げ果せた時と同じ行動をすればよいのではないのか。
私は握りしめていたコップの中身を飲み干した。と、その時、私は自分の部屋の中にいた。
あのコップはどこにも無かった。
三年前のあの女のもとに戻ったのだ。
自首という言葉が頭に浮かび始めた。
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たらはかにさんの企画です。