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見つめる目薬 ショートショート
この頃、誰かに監視されている気がする。素敵な女性が建物の陰から胸をときめかせて僕を見つめていて欲しいものだけれど。あり得ない。
命を狙われるほどの大物でも、ワルでも無い。借金も無い。
そうだ、外だけでは無く、アパートでも何かの視線を感じる。なぜなんだ、僕はどうかしたのか。
彼を見つめていたのは、目薬かも知れない。
彼がどこに居ても、彼を見つめる視線は途切れない。
彼が最近別れた彼女は、薬局勤めの女。
彼から別れを告げた。
彼は目薬を買うほんのついでのように、彼女を捨てたのだ。
彼が彼女に近づいたのは、好意があったからではなかった。
彼は、フラれる事が続いた。
ふと、自分から女を振ってみたいと、不届きな事を考え、実行したのだ。
可哀想な女はこの街を去った。
今は幸せならいいのだが。
目薬が彼を見つめる事など無いはず。
彼の潜在意識の中に、少しはお詫びの気持ちがあるからか。
彼が自分の罪の重さに気付くまで、この状況は当分続いていくのだろう。
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爪毛の挑戦状 「見つめる」「目薬」で書いてみました。たくさんのキーワードからのチョイスも、なかなか大変でした。 めい