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毎週ショートショートnote ビジュアル系男子に教えられた琴

私はビジュアル系のバンドが好きだ。特に推しはいない。
非日常的な化粧や衣装で、素の部分を隠し自分を解放している姿が好ましい。

私の家は琴の家元。
私は後々跡を継ぐ事になるだろう。

「まだお前には、何かが足りない」
父の言葉が横切る。


コンサートに来たのは久しぶり。
最後に演奏した『トコ』というグループは、思いがけないものを見せてくれた。

ステージ上に運び込まれたのは私が見慣れた物、琴だった。
散々ハードな音でお客の心を満たした後に、この琴の出現は確かに意表をつくものだった。

会場は騒めく。
ボーカルの男がステージに置かれた琴に向かい、演奏が始まる。


不思議だ。私の心の奥底に辿り着いた琴の音が何かを探している?この音は私の心の穴の鍵だった。私の中の何かが開いたのがわかった。

琴は前奏だったようで、ボーカルは再びマイクの前に立つ。

父の言っていた、私に足りない何か。
私はそれを掴めた。
ボーカルの男が私に手を振ってくれたのは、偶然なのだろうか。


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たらはかにさんの企画です。
飽きっぽい私が、一年以上も参加させていただいているとは驚きです。


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