自己紹介草|毎週ショートショートnote
草原の真ん中辺りに、目立たず僕は生えている。
花を咲かせても小さな青い花はミツバチでさえ見過ごす程だ。
だけども僕にも友達がいる。
赤地に黒い七つの水玉模様の、可愛いナナホシテントウさん。
彼女が時々会いに来てくれる。
それだけでも、僕は生まれて良かった。
そりゃあ、僕も彼女と同じ天道虫だったらと思うよ。でも叶わぬ夢は追えない。
彼女が僕に会いに来るのはもう一つ理由がある。
僕の体に集るアブラムシを食べてくれるんだ。特別美味しいと言ってくれたんだよ。
僕にとっても彼女にとってもウインウインなんだ、いや、だった。
残念ながら彼女の寿命は短い。
彼女は僕に卵を産みつけて一生を終えた。
とても悲しかったよ、三日三晩泣き続けたさ。でも彼女は希望を残してくれた。
もうすぐ卵がかえるよ。
そしたら、僕は30匹の天道虫達のパパになる。楽しみだ。
自己紹介の言葉も考えた。
「初めまして、僕が君達のパパのオオイヌノフグリと言う草だ、よろしく」って話すんだ。
たらはかにさんの企画に参加させて頂いています。