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発砲通報プロ 毎週ショートショートnote

発砲音が鳴り響く。組織の防音設備の完備した一室。
発砲したのは私では無い。妻だ。
彼女も私もエージェント。新しい武器の試し撃ち。

「どうだい?」
私の質問に彼女は
「今一つね」
彼女は肩をすくめた。

表には出ないが我々にも生活がある。善良な市民としての顔も必要なのだ。二つの顔を持つことに、私たちは疲れを感じ始めていた。40歳も目前だ。転職して新しい人生を歩みたい。正直な話。

私たちはそれとなくボスにぼやいた。
下手をすれば、どんな仕打ちを受けるかわからない。
ところがボスはあっさりと転職を勧めてきた。

「君たち、夫婦でこの仕事を始めてくれないか。なんというか火災報知機のような発砲通報機を各支部に設置、監視して欲しい。異常発砲が最近多くてな。どうも内部テロを目論んでいる者たちがいるようなのだ。探りたいのだ。誰にでもできる仕事ではない。君たちなら適任だ」

発砲通報プロダクションに、プロフェッショナルとして我々夫婦は転職できたのだがねぇ。


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たらはかにさんの今週の裏お題『発砲通報プロ』です。なんだか違う気もしますが。お目こぼしを。


#毎週ショートショートnote