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ビール傘 毎週ショートショートnote

とあるマンションの一室。

「ねえ、あなた。ビールがさ、また値上げなんだって。毎度の事だけど。もうビール買うのやめようか。
なんでも、禁酒法が発令されるという噂もあるのよ。アルコールで人生を台無しにする人が益々増えてるそうだから。あなたの事、心配なの私」

奥さんは涙目だ。

その頃、斜向かいの老舗の傘屋の大将は、良からぬ事を始めていた。

店舗の地下にバーと、広い酒造庫をつくり、アルコール分一度以上のビールを許可なく製造し、アメリカの禁酒法時代を彷彿とさせる一時代を築こうと準備をしていたようだ。が、金策が尽きて法を犯し、逮捕となった。

「そんな話を息子のマサ君から聞いたよ」
「まあ、あなたの幼馴染よね。で、お店を継ぐ気は無いって話なの?」

「いや、継ぐ事にしたんだそうだ」

しばらくすると、傘屋の店舗は改装されモダンな傘店に様変わりしていた。

大将の話は男のロマンだと、多くの男性客から支持を受けた。


店の屋号は【ビール傘】に変わっていた。



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たらはかにさんの企画です。