フシギドライバー 毎週ショートショートnote
最近、一人の男性と出会った。
彼の名前は知らない。私も名乗ってはいない。
彼はドライバーだと言うが、車は運転しない。
彼は空を飛ぶと言う。
「では、パイロット?」と問えば違うと言う。
「フシギドライバー」と繰り返すだけ。
彼は私と空を飛ぶ。
ピーターパンとウェンディのように。
飛ぶのは、どことも知れぬ世界。あの美しい不思議な世界を語る言葉を私は知らない。
そんなある日。
「今日で、あなたとはお別れです」
彼は言った。
「どうして?」
「あなたには、二つの選択肢がありますが、どちらを選んだとしても二度と私達は会えないのです」
「選択肢?」
「あなたが、フシギドライバーになる道、そして私との出会いを無かった事にする道」
「どう言う事?」
「あなたをフシギドライバーとしてスカウトしています」
「それって何をするの?」
「あなたは誰かとフシギ世界を飛ぶ、それだけです。了承されれば、あなたは飛べます、どうしますか」
そう言って、フシギドライバーは微笑んだ。
『本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です』