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象牙の門
私の夢は、象牙の門をくぐる所から始まる。隣に角の門があるのだが、私にその門をくぐる許可は与えられない。
一度くぐりかけたが、角の門は通してはくれなかった。
仕方なく象牙の門をくぐる。
青い空が広がっている。どこまでも。他に何も無い。孤独が波のように襲ってくる。帰ろうと思い振り返るが、そこもすでに青い渦に呑み込まれてしまっていた。
前に進むしかない。
あっという間だったか、気が遠くなるほどの時が過ぎたのか、わからない。
たどり着いたのは、なにも無い空間に浮かぶ一つの粗末なベッド。
ベッドに眠る一人の老女。
身にまとうものは美しいローブ。
若い女が好みそうな…。そうか、彼女は長い時をここにこうして眠っていたのか。
と、彼女は突然目を開いて私をしげしげと見つめる。
「待っていたわ、ずっとあなたを」
なんだかとんでもない事が起こるようなイヤな予感。
気がつくと、私は彼女の着ていたローブを身につけ、ベッドに寝ていた。
今日の夢は覚めない気がした。
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私がnoteさんにやって来て、生まれて初めて書いたショートショートが、この夢の話でした。↓