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お化けの暗々 青ブラ文学部

お化けの暗々はまだ新米。暗々のお母さんは、素敵に怖い顔。暗々は羨ましくてたまらない。
お母さんを見れば、人間だけでなく動物達まで尻尾を巻いて逃げていく。いいなあ。大きくなったらお母さんみたいになれるかなあ。

暗々のお母さんはとても心配していた。暗々は人間で言うところのかわい子ちゃん。お化けの世界では大成できないだろう。

以前は美人だったが、夫のせいで有名なお化けとなったお岩さんに暗々裏に相談したお母さん。

お岩さんは、元は人間だったので可愛い暗々を可哀相にも思った。
「私は生前美人だったから、お化け顔になった時、凄みが出たの。美人のお化けって怖いのよ。まあ人間だったから、幽霊の要素もあるけれど」
「そうだった。私も幼い頃、美しいと虐められたの。でも大人になるにつれ怖いお化けになったのよ」
「でしょ。そうだと思った。あなたもなかなかのお化け、その娘の暗々も先が楽しみよ」
「ええ、でもそれまでに100年くらいかかるわね」

「大丈夫よ、私達は寿命がないのと同じだから」
二人は笑い声を上げた。とても不気味な素敵な声だった。

二人の会話をこっそり聞いていた暗々。
何やら、体の中の何かが暖かく変化していくような気がした。
それが何か分かるのは、もう少しだけ先かもしれない。


おしまい

山根あきらさんの企画と言う言葉を使うです。
この記事では『暗々裏』というワードが浮いてしまったように思いますが💦

山根さん、今回もよろしくお願いいたします。めい



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