港のマリー 青ブラ文学部
港のマリーと噂されたのは昔の事。そのことを知っているダチももういない。
「港々に女がいてさ」そう言ってたアイツもどこかの海で藻屑になっているんだろうよ。私に待っていてくれと言っていたのも、嘘か誠かもわからない。いい加減な男だったのさ。
私は歳を重ねた。この港のあるこの街を出ることも無いままに、あっという間に過ぎていく時をただ眺めていただけ。
最近、早朝の港を毎朝歩く。昔の思い出をひとつひとつ捨てていくために。
私は、もはやマリーではない。ただの木田真理子。なんて平凡な名