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2024年5月の記事一覧

帰りたい場所 青ブラ文学部

とても静かな昼下がり とても静かな雨が降る 私に遠慮するかのように 雨の日は眠りたい 雨が降り続く間だけ あなたが夢に現れそうで 雨男のあなただもの 雨に託した私の言葉 読み取ってくれたかしら 私に告げたい言葉は無いの? 知りたい気持ちは空回り あなたが帰りたい場所はね 私の部屋ではなかったの ずっと前から知っていた 知っているのは悲しいことよ 私の帰りたい場所はね あの小さなウィンドウのあるお店 あなたと白いドレスに見入ったわ そうよ あの場所なのよ 詮ないことだ

#君に届かない 青ブラ文学部

空を見上げる。 まるで皮肉のように赤い星が一番最初に目に留まる。 君が出て行くと言った時、私の目の届くところに居るなら良いと確かに私は言った。そして、君はそうしたのだ。 君の住む星は目視で確認できることもある。けれど、それは何の意味も持たない。 私が君に会うためには、かなりの距離と出費を覚悟しなければならない。 そんなに私から逃げたかったのか。 そこまで君を追い詰めていたとはね。笑うよ。いや、分かっていたさ。 認めたくなかっただけだ。君を離したく無かった。だが、する事なす

鬼化粧 色のある風景

最近の流行にはついていけない。 若者たちの化粧が根本的に変わってしまった。 分かりやすく言うと、若者たちのほとんどの顔が鬼に変わってしまったのだ。 顔の色が、赤、黄、青、緑、白、黒etc.。 まるで12色クレヨンの見本だよ。 最近では様々な年代で、若者文化を追従する者たちが現れ始めた。 SNSは鬼たちで溢れかえっている。なんという世の中だ! うちの孫たちも赤鬼、青鬼。紫鬼になってしまった。 そして、この私にも鬼化粧を施すように勧めてくる。 「ね、おばあちゃんはピンクの鬼