廃屋の鏡(夏ピリカ応募作)
昔は立派な邸宅であった事が、容易に想像できるその廃屋は、流れゆく時の中を漂う。かつての面影は敷地面積の広さからも思いを馳せる事が出来る。
今はただ、危険を伝える看板と厳重な金網等に囲れた孤独な佇まい。
100年も前の建物と思われるこの廃屋は、富豪の城。そう呼ばれていた、華やかで美しく優雅な邸宅であった過去を覚えているのだろうか。
この廃屋には、嘘か誠か一つの不思議が伝わっている。
大勢の召使いに傅かれて住んでいたのは三人の娘と、その両親。
三人の娘、皆美しく人目を引い