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ショートストーリー

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2024年3月の記事一覧

トイレの猫 ショートストーリー

トイレに入る。入る理由がある。 勿論、通常の使用ではない。 その女子トイレの奥の個室を七回ノックする。 それが合図。 ドアを静かに開けると、そこは確かにトイレ。『どこでもドア』などでは無い。 そのトイレには猫がいる。 住んでいるようでもあり、気まぐれに現れるだけなのかは不明。 ドアを七回ノックすると現れることが多い。 時々、言葉を交わすようになった。 誰かに飼われているのではないかと思うほど毛並みの美しい白猫。 最初は驚いたが日本語を話す猫。お互いの好奇心が高まった。

痺れる声(ショートストーリー)

最近、夜眠れない。 そんな私にピッタリだろうと貸してくれたアイテム。職場の同僚が心配してくれたのだ。 それの形状は目覚まし時計に似ていた。立方体の一面に、1から10までの数字が文字盤に円を形作って並んでいる。数字は何を表すのか不明。秒針のような細い針が一本だけ、不規則に動いている。 使い方は寝る時、枕元に置いておく。指示されたのはそれだけ。 深夜、目が覚めた。確かに2時間ほど眠ったと思うが、これだけ?とも思う。最初だし、多くは望まない方が良いのかも知れない。 時計状のも