素朴な思い

 ふと思い立って、いつも行っている小さな図書館ではなく、大きい図書館へ足を運んでみた。当然のことながら、おびただしい数の本! だった。
 文庫本の書架を隅から隅まで眺めた。洋の東西を問わず、知っている作家、既に読んだ作品も勿論あった。が、これも当然のことながら、未知の作家、未読の作品の方が多かった。ホント、そんなのは当然、なのだが。
 すると突然、ここにある本を読み尽くすことなく自分の寿命は尽きる、そんな漠然とした思いが頭をよぎった。「それでも時間は巡る」これも浮かんで来た。だからと言って、虚しさを覚えた訳では無い。フッと浮かんだ素朴な思い。ただそれだけ。

 未知の作家、未読の作品。

 自分が知っていること、モノなど、実は「高が知れている」のだ。改めてそう思った。同時に、自己卑下する必要も無い、とも。私はわたし、それがわたし、それもわたし、なのだから。

 開き直って傲慢になるのではなく、ただ謙虚に素直に、私が私らしく在るのを、私は喜びたい。

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