その日のまえに

 最近よく読むようになった、重松 清の作品。どの作品も、私は泣きながら読んでしまう。いじめ、吃音、親子のすれ違いetc. 。その生々しさに、泣かずにはいられない。それらがリアルであればあるほど、作者の思い(想い)、エネルギーが迫ってくる。氏が、心を、命を削って、作品を生み出しているのが、ひしひしと伝わって来るように感じられてならない。

 「その日のまえに」も、氏の作品だった。文庫本の裏表紙に書かれていた「(前略)……昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を、不意に断ち切る家族の死……(後略)。」を読んだ瞬間、これは号泣必至、と思った。心が揺さぶられ過ぎるかなと、一抹の不安も覚えた。が、結局借りてしまった。

 読む前から、手が、心が震え、ドキドキしながら読み始めた。一つ一つの話が、どうつながって行くのか、皆目見当がつかないままに。最後の話に辿り着いて「やられた!」と思った。ここで、こうして、こんなふうに、つながるなんて。感嘆、感服、驚愕、想定外、衝撃的 !!

 それぞれを、これは予想通り、泣きながら読んだ。涙無くしては読めなかった。この言葉、この場面と、具体的には書き出せないほど、本の中の、ありとあらゆる言葉、場面が胸に迫り、突き刺さり、共感の嵐が吹き荒れた。心が大きく、強く、揺さぶられた。読み通すのに、莫大なエネルギーを要した。
 それでも、途中で投げ出すこと無く、一気に読めた。本を閉じ、借りる勇気を持てて本当によかったと、自分で自分に感謝した。

 自分の気持ちが、本の中に在る。記されている言葉、さまざまな場面が、自分の想いを代弁している。これらの発見、実感は「ひとりぼっちではない」このメッセージとなって、私を支えてくれる。

 図書館で借りた本なので、返さなければならない。いつでも、何度でも読めるよう、購入することにした。

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