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みくのしん

 表紙だけ見るとコミック本のようですが、これは実に不思議な本でした。

 「本を読んだことがない32歳が初めて本を読む」というタイトルで、いきなり太宰治「走れメロス」有島武郎「一房の葡萄」芥川龍之介「杜子春」などの古典名作と、webライター雨穴「本棚」を読み進めていくお話し。


太宰治、有島武郎、芥川龍之介 写真出典:国立国会図書館「近代日本人の肖像」

 どれも国語の授業で読んだことがあるものばかりですが、正直にいうと私もあらすじをおぼろげに覚えているだけでした。

 ところがみくのしん(webライター・本名高杉未来之進)さんの読むこれらの名作の登場人物はみんな生きているかのようです。

 本を読んでいて、自分と重なる瞬間。その喜び。これを味わうのはみんな好きだと思うけど、僕も好きだ。好きになれました。

 龍之介が僕を見ていてくれて、龍之介が誰にも分からないけど僕にだけ分かるように「見ているから頑張んな」と言ってくれたような気がしたんだ。だから龍之介にはありがとうなんだ。優しいよ本当に。優しいやつだ。
 だから俺も龍之介の事はずっと好きでいるよ。本当にありがとう。

「杜子春」を読んでみて255ページ

 ともすればどんどん読み進めてあらすじを追うだけなのに、一行一行に感動したり、そうじゃないでしょと思ったりするみくのしんの読書、とても豊かな読書だと感じます。

 この本は娘が購入したものを貸してくれて、「noteのネタにしてごらんよ」
と背中を押されて書いてみました。



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