あの家 1

電気が灯っていた。
灯っていたのだ、確かに。
遅くなった学校帰り、電光柱の少ない道を自転車で駆け抜けていると、あの家の電気が灯っていた。
夜になると見えなくなるような、あの家に、灯りが。
驚きながらも、自転車の速度は下げずに家の前を走り抜けた。
それだけなのに、胸騒ぎがする。
いや、胸騒ぎではないかもしれない。
見てはいけないものを見てしまったような驚きが、恐れでもあり、好奇心でもあった。

あの家は、ずっと昔からそこにあったから。

時間を止めたようなあの家は、誰も興味を示さない。

あんなに、不思議な洋館なのに。