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2022/9/17『愛する言葉』

野の花は光あれば開くでしょう
わたしたちの歩む水辺
アイリスやハナショウブの水辺
やわらかな土とさわやかに吹く風
あなたの白い靴は新しく
しめりをおびた草をさけて
楽し気にすすむわたしたち
考えることといったら
それはわたしたちのこころのかろやかなこと
歩みをとめれば
静けさのうちにこころは
この午前のふたりの歩みを見出すでしょう
光と夢が親しくふたりして思うとき
水草とともにあふれるところ
静かに雲は流れ
水辺の植物がさわさわとゆれる世界
あなたは長い髪を季節の中に
わたしはただ満ち足りた自然の呼吸するのを
あなたの明るい微笑が
空となぐさめを結ぶのを知る
水鳥の声の悲しげに聞こえる水色の
空を映し、瞳は雲を吸い込み
あなたの肌はしたしげに呼吸する
わたしたちは歩く
水辺の魂のゆれるままに
言葉ではなく愛するこころのままに
そばにより、手をつなぎ、言葉ではなく、からまるこころ
目と目で愛することをする
それはとても必然の愛の世界
それはひたすらに雲と光のあふれくる感情
水はゆるやかな流れをもたらしている
わたしたちのからまってほどけないこころ
水はおたがいのからだをめぐる
くちびるをわたしはもとめ
くちびるをあなたはもとめ
すずやかにふたりの身体は流れていく
水辺から雲のひかりへとかがやいてそのままに
おさえられない感情のままに
わたしたちはおたがいをもとめている
そして明るい光の満ち溢れて歩くとき
さわさわと
しっとりと
愛する言葉はどこまでも
風と光と魂のささやき
愛する言葉の
こぼれていく。