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2023/1/17 『 冬 』

ひどく明るい陽射しなのだ
何度も恒星が爆発した後の
さしたる脅威もなく
ひからびた魚が浜辺に漂う
きらびやかな人魚たちが
飛行船の沈み行くときに
ひややかなキスをしてくださいと言う
子守歌のかわりに紙風船のひだまりに
アカシヤの泪のようなひだまりに
近松の心中話しを繰り出して
百年ほどは黙っていても
コモリクの広大な世界を駆けて行くそれほどに
亜目阿修羅の精神のひどく明るく
アアシュ、かけめぐる、東の空へと
とくとくと変幻する、西の空へと
ヒューマンの削られるかかとのような
イチハツの解釈される
房総半島の砂の舞い上がるところ
極まれる時代の三味線語りとしての女です
ひとも小高い丘も逍遥する満月の
岸と岸のざらついて傾いて
測量隊は素足のままで海に入る
更衣の頃ではあるけれど
その中心地は爆心地である
鼻血を垂れている子供の前に
鶏頭の花が立ち並ぶ
やさしいショコラの短編小説を
丸まった背骨の格子戸の季節
丸まった手を叩きほろほろと鳴く
きざはし、太鼓橋、真冬の霜の橋
そこはとても明るい陽射しなのだ
凍りつく湖面の。