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2022/10/10 『感覚の海』

感覚するこれら、海のように
とぎすまされたこれら、アジアのように
塗料がぬられていく時間帯には
海の生物たちも、非情な海溝を知る
深海魚のエラは、とんがった感情をとらえようとする
昼間の駐車場から、とりとめのない感情が出て行く
アルコールの海に魚たちはおよいでいる
背びれの先には、咸陽の都市が生まれようとする
アジアのこの辺りには、立ち上がる魚たちの群れが
濁った水の中で、感覚する
土と木の葉がまじったまま
古い飛行機が離陸していく
感覚はさまざきの抵抗を受けて
空の一角から、都市の上部を旋回する
藍色の昆虫たちが、都市の上部を旋回する
こうした天候は海底の影響を受けている
イカやクラゲや深海魚のゆるやかな影響を
夕暮れの都市の高速道路に魚たちが泳いでいる
静かな夕暮れの深海を
息をひそめて、わたしは歩いている
正しい〈あいまいさ〉のエラを動かして
人の歩いた後に、しずくがこぼれていく
魚たちの声は、明るい声であり
ランダムに声は信号を送りながら
しいたげられた海の方から
ただ感覚は、水中へと
おぼれつつある
わたしはそれを
感覚する。