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2022/9/11 『アメリカ』

われわれが知っているもの
砂漠の中に埋もれてしまったもの
インディアンの精神について語ろうとして
サボテンの棘と花と水分のように
君はマジカルな葉タバコを感じようとする
景色はどうでもよい、やってくる砂嵐も
ドロシーの家ごと、巻き上げられる竜巻のように
砂漠で行われる「はじめての核実験」
ドロシーは死んでしまった、かかし男も
鉄道はのびていく、ささげられる命とともに
惜しみなく命は砂漠に消えて行く
それからジーンズの汚れ、尻のポケットに詰められたもの
もちろん銃はすぐそばにいてください
それはあなたのように、わたしのそばに
弾丸は数えられて、いつもその箱の中に
美しい夜の星たちとともに
弾丸はわたしの手の中に光る
いつも太陽は鉄道の新しい線路の上に輝く
わたしはその先のまだ何もない大地を見る
そしてあなたのやさしい笑顔のために
肉体と精神を灼熱の原野にさらす
ドロシーとライオンは未知の世界へと
わたしたちは西へと
サボテンに来る鳥たちとともに
陽は昇り
どこまでも続く線路の上の事実として
なにごともなく今日も陽が沈む
喉の渇きのように
肉体のひずみのように
眠る為の夜へと。