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2022/9/8  『秋』

最善のものを得るために
凍らせたひとつの山脈
最善のものを得るために
燃えつくした歴史ある都市
チューインガムを吐き捨てて
ピラミッドの内部空間、ただ暗く、逃げ出す心
それでもアルマジロのように
土を掘り、奥深く忍びいり、歓喜の巣をめぐる
キッチンでは小止みなく降る雨
わだかまりの中で、するどい視線の更衣がすすむ
手毬唄と貝殻細工の工芸品が並んでいる
そのような季節・時間帯には、菓子などを出して
あなたを迎えようではないか
秋の空のはるかな、思い出すことによって
用意されたのは「こころ」であるから
まちがいなく、わたしはあなたを求めていた
それは日本の景色、これから始まる季節のために
水のために
流れのために
映し出す紅葉、流れ落ちる滝水のために
はたしてあなたはそれらの秋景を
さしだしてなお、わたしにそれを求める
精神の奥のキリマンジャロ、高く
青く、握りしめている
水平の精神の直角の精神の
それぞれはそれぞれに隠されて、確立する精神の
秋景は与える
そして絶対的な真理の姿として
ヒイラギやキンモクセイ、さらにはサザンカへと
神の姿として、感覚する、世界の真理として
すずやかに染み入るそのあらわれ
いつもそうです、あなたは隠された歴史の奥の
ただ静かに、ただひとつの眼として
これらの時間の根底に於いて支配する
ただ安らかに、ただ黙して、わたしを見る
サマルカンドのつちくれの
東から昇る朝日の
頂きはすでに照らされている
立ち並ぶ都市の全景
それを知るのは
わたしの秋です。