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2023/9/21『  スイフト 』

モーリヤックの、めざましい僻地の開発する
住まいと言うものは
青い屋根の秋空の透明の
神経は砂のような河を渡り
ただだんまりの影の湖水から
響くカコウの声に親しめる
我等の初等教育のはずかしげに土の道の翳り
湿度ある林の奥の下草の、わずかに香る
白い花は、みずからの思考する時間
病める時間の滞在する気象
ひろがりつつうすくなる雲の消えゆき
そしらぬふりをしてみあげる山肌へと
ナンジャ、ナニージャ、ヒルベルトは崩壊する
芥子粒の指先の世界地図と言うもの
ヒワの声がする林の奥の道は消えて
吸い付くような肌の陽に照らされて
グウンと、グウンと、シダの影が伸びて来る
景色の排除された日常の排除された
日々の口々のただれゆく日常のあまりに吸い取られて行く
誇り高き日常のわだかまりの
スイフトは、にわかに立ち昇りゆく
意識の誕生するこの日常の明るい日々の
戸締りをして手には懐中電灯を持ち
シケモクの加賀の路地を
歩く時にはすべてはスイフトとともに
昏睡する。