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GLAY『ここではない、どこかへ』

こんなnoteも書いておこうかなというお試しですがGLAYの話を。最初に言っときますが僕は全くファンじゃないです。ファンの人たちごめんなさい。以下基本情報を。
1999年8月25日発売「ここではない、どこかへ」は、GLAYの17枚目のシングル。のちに5thアルバム『HEAVY GAUGE』収録。フジテレビドラマ「パーフェクトラブ!」主題歌。

ミリオンヒットなので代表曲の一つではあると思うけど、他にも彼らのヒット曲はたくさんありすぎて、時代と共に埋もれていった楽曲のひとつでもあるかと。ただ、個人的にはこの「ここではないどこかへ」という言葉とサビのメロディが頭に妙に残り続けていて、街で遭遇するたびに(旅行とか専門学校の広告とか割と使われがちね)このサビのメロディが無意識に頭に浮かんでしまうのでした。
(「違う、そうじゃない」とか「だってしょうがないじゃない」とかも同じ作用が発動する楽曲)

そもそもどういう曲なのか改めて今聴き直してみたところこれがなんとも平易な言葉ながら深い歌詞で、当時の彼らがいかに日々のスケジュールに忙殺されていたかという心境などが伝わってくる曲でした。


まずこのタイトル自体がミスリード誘発ワード。未来への希望を詰め込んだ旅立ちを決意する歌のようでいて、結局この歌の主人公はどこかへ「旅立つ」ことはなく、「胸を焦がす」だけで何もしないのである。
かつての夢をあきらめ、時代の息吹に身をさらした男。とはいえ今いる場所を捨てることも、憧れを捨てることもできない、そんな中途半端な生き様が描かれている。

そしてその表面上のストーリーからはみ出た部分には、この曲を作ったTAKURO本人の苦労が透けても見える。
恐らく多忙すぎる日々の中でドラマのタイアップ曲を作れと言われ、必死に言葉を搾り出したのではないか。
「夢は無限にある」「航海に出た」「南向きの帆を立てろ」など、切り取ればポジティブに聞こえるワードがそこかしこに散りばめてあるものの、しかしすべてを前向きな歌にはどうしてもできなかったように思えるのである。それはつまり彼がオネストな人物であることの証でもあり、守り抜いたクリエイターとしてのプライドであると受け取る。

別の途(みち)についた仲間。もう逢えないけれど、それもまたどこかで頑張ってくれていればそれでいい。最後はこんな歌詞で締めくくられる。

悲しいことばかりの世 うれいの夜には
2人の願いを かなえられたら

この着地のなさこそこの曲の真骨頂。何もしない、どこへも行かない。現状は何も変わらない。変えようともしない。こんな思わせぶりなタイトルを付けておいて。この諦観、無常の境地。実に味わい深いものでした。

あとこれはおまけですがHISASHIのギターソロが素晴らしい。布袋寅泰ばりの美しいメロディライン、キレのあるカッティング。他に詳しくないので比較のしようもないが、コンパクトながら聴かせどころを押さえた職人技を見せていただいた。

後記:この曲はベストアルバムに収録されなかったらしく、本人たちが気に入っていないから外したのではないかという憶測があるそう。全然知らなかったけどなんとなくわかるその気持ち。

GLAYでは他にサバイバル、BELOVEDが割と好きだったな。別にCD1枚も持ってなくても歌番組やカラオケでこのへんは散々聞かされて覚えちゃったという時代に生きていた。

あとこのYouTubeはほんとにすごいと思った。
「GLAY×山本」彼女の"Modern..." 「HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2007ー2008」

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