冬は国木田独歩の季節だと思う

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"人と違う自分"が好きだった

 私の生まれは中途半端な田舎町。スーパーもコンビニも車があれば、しかし車がなければどこへ行くにも厳しいという中途半端さだ。今では小中学校の生徒は多くて1学年20人。1学年が、20人だ。かなりの存続の危機にある。古き伝統と次世代によるその否定が入り混じった狭い町。それが私の町である。  そんな町で、私は幼い頃から自分を特別だと信じていた。苗字は町でも町の外でも珍しく、親に授かった名前も同様、生まれた当時には斬新で格好良く、これまで誰かと被ることのない特別な名前。持ち物や趣味も

    • 愛がまだ、残ってるうちに

      あなたと別れることにした。 本当にやさしい、みんなが口を揃えて評価するような、歯痒いくらいに自己犠牲的な良い人だった。 去年の春に恋した。理由は特になかった。2度しか会ったことがなかったのに、誕生日プレゼントに可愛いチョコレートを貰った。私はそういう小さなサプライズに弱かったから。その瞬間のあなたがとても愛しく思えた。2回デートをして、皆が苦笑するようなしょぼい花火大会の日、しょぼい花火でも綺麗だと言ってくれたあなたに好きだと言った。 それからはずっと楽しかった。亀裂が

    "人と違う自分"が好きだった