"人と違う自分"が好きだった
私の生まれは中途半端な田舎町。スーパーもコンビニも車があれば、しかし車がなければどこへ行くにも厳しいという中途半端さだ。今では小中学校の生徒は多くて1学年20人。1学年が、20人だ。かなりの存続の危機にある。古き伝統と次世代によるその否定が入り混じった狭い町。それが私の町である。
そんな町で、私は幼い頃から自分を特別だと信じていた。苗字は町でも町の外でも珍しく、親に授かった名前も同様、生まれた当時には斬新で格好良く、これまで誰かと被ることのない特別な名前。持ち物や趣味も