兄のこと

今年の6月から何度も書いては消して、書き加えて…していた記事があった。それなりに色々と葛藤があり、その葛藤も

1)余技に時間かけるヒマがあるなら仕事しろ
2)そんな内容のもの、誰に向けて書くねん、誰が興味あるねん
3)最も伝えないといけない人に伝えてないのに何で書くの?

と、いった感じでそれなりに「葛藤」らしく混沌と、悶々としてる。


早くキッチリと書かないからどんどん記憶が曖昧になってきてるのだけど
6月の初旬、昔住んでた家の階段が夢に出て来た。

記事を書き進めていくうちに、この旧実家の階段について説明しておかないと私の中の気持ち悪さが伝わり難いかなぁと思ったので書きかけの悶々記事をほっぽって下記の「かいだんのこと」と題した記事を先に上げることにしたのだった。

が、それからどうにも気持ちが乗らず、仕事も忙しい上に公私ともにプレッシャーが積み重なって来てしまい、そのまま書いては消して、寝かしてを繰り返していた。

他人様に公表するような内容ではない気持ちは今もあるのだけど、
あるのだけれど。

6月の初旬に見たという夢は、家の2階から兄が顔を出して階段にいる(ぶら下がっている?)私の二の腕をすごい力でギリギリ握っているというものだ。

無言で、私の顔をじっと見ながらとにかく凄い力で握っているのだけど、落ちそうになる私を掴んでくれているようにも思えるし、何か引き止められているような気もするし、今になって思い返すと上下が逆だったような気もするし…不思議な夢だったけど、握られた二の腕の痛さと、痛いからと身じろぐと兄の手が横乳に当たるので、それだけは嫌だと手と脇に一定の隙間を保つ努力をしていた記憶ばかりが残っている。

ちょうどその時期、「おちゅーんLIVE!」という毎週土曜夜に配信している番組で子供時代のことを思い返す機会があったので、それでかなぁと思って特に気にしてなかったのだけどその数日後、打ち合わせの帰り道、電車の中でスマホを確認すると知らない番号から何件も電話が入っていた。
「?」と思っているとちょうどその番号からの着信、見ると「〇〇警察署」と表示されているので慌てて次の停車駅で降り、電話をかけ直した。

電話は兄の死を伝えるものだった。

冒頭の「最も伝えないといけない人」とは母のことだ。
警察の方では古い電話番号しかわからず、やっとつながった家族が私だった。
私はまだこの一連の出来事を母に伝えられないでいる。

兄は15年程前にふたり目の父と大喧嘩した朝に実家を出て行き、そこからどこにいるかわからなくなっていた。
その後、実家の引っ越しや義父の死を伝えられるなら、とダメ元で検索したらFBであっさり見つかり、メールで少しやり取りをした。
ただ、望んだ結果が得られなかったのでそこからまた音信不通になって既に6-7年経っていた。

同じ府内に住んでいても、母に何かあった時にすぐに駆けつけられないもどかしさは、その義父の死の時に味わった。
朝イチに死の知らせを受けたものの、その日どうしても抜けられない仕事があり、それだけを済まして駆けつける旨を伝えたが、その後、呆けた母は何度も何度も同じような言葉をふわふわ喋り続け、家に着くまで十数回留守電に独り言のようなメッセージを入れてきた。着信回数はそれ以上あり、それが母の不安を表しているようで、周りに母の友人らがいることはわかっていたが気が気でなかった。

その記憶があったので私と離れている時に、一人でいる時にそれを聞かせるのは私の中では100%無い選択だった。

私にとってはこのまま黙っていることの方が楽なので、最後まで黙って一人で処理してしまおうかと当初思っていたのだけど、息子の行方がわからないままというのは心残りではないだろうかという気持ちの方が今は大きい。

そんな訳で今年中にタイミングを見て可能な限りソフトな内容にして伝えようと思っている。


今現在、単なる私のエゴで、彼岸と此岸をさまよわせてしまっている兄へのお詫びも込めて。


2022/04/08追記

昨年のうちに伝えなければ…と気を張ってたのだけど、周辺に色々と不幸やら母の体調やら私の仕事やら落ち着いて話すタイミングが掴めないままで、今月に入ってやっと伝えられた。心配していたようなことは起こらず、話したその日以後、お互いにその話題に触れないのだけど、まだ一仕事残っているのでしっかりやろうと思う。

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