横須賀散策 ~ワタシ日記~

20代の頃から仲良くしている年上の友人は、私が北海道に住んでいた頃からよくドライブへ連れていってくれた。と言っても運転嫌いな友人なのでいつも私が友人の車のハンドルを握っていた。そう、私は運転が好きなのだ。肝心の持ち主はと言うと隣でシートを倒しスースー眠るというのがいつもの流れ。

当時、すでに携帯電話が普及していたにも関わらず友人と私は「余計なものは持ちたくない。」という理由で連絡がとれないと心配する周りを他所に少しのお金とお風呂セットをカバンにつめ、週末になるとそれぞれの家を飛び出して夏から秋までしか開いていない温泉やひなびた温泉を探しては道内を旅した。

22時になると灯りが消える露天風呂。急に電気が消えて驚くと同時に眼に飛び込んできた満点の星空に息を飲んだ秋の夜。野生の鹿がこちらを見ていたり。はじめての混浴にドキドキしたり。

友人は私が上京してからというもの、1年に2回ほど遊びにくるようになった。昔から好奇心旺盛の友人は東京へ遊びに来るのを楽しみにしているようで様々な場所をチョイスしてくる。前回は耳にペンを挟んだオジサマたちに混ざり初めての競輪。からの空気の美味しい高尾山への登頂。そうくるか。

今回はどこだろう。多少なりともワクワクする私の期待を裏切らない友人が提案してきたのはこちら。横須賀。

横須賀?頭のなかで横須賀情報を探るも行ったことが無いので出てくるものなど何もない。やっとのことで出てきたものは「港のヨーコ 横浜横須賀ぁ あんたあの子の何なのさ🎵」という歌詞のみ。そんな程度の知識で横須賀を楽しめるのだろうかという不安もありつつ、方向音痴の私は待ち合わせの横須賀中央駅まで気をひきしめながら満員電車を乗り継いで友人と再会した。会って30秒後には「会って早々で悪いけど、とにかく歩いて。」との指示が。早足で歩くこと15分。到着したのは横須賀中央駅と猿島を結ぶ船の出る三笠桟橋でした。

平日にも関わらず満員御礼の賑やかな船へ乗り10分程で到着した猿島は、東京湾唯一の無人島。猿がたくさんいる島かと思ったけれど猿はいないそう。

長い桟橋を渡りながら見る島は、鴬が鳴き蝶々が飛んでいた。砂浜も緑もキレイで自然豊か。

下は砂浜のある島から見える横須賀の町。なんだか不思議。

さっそく島を散策しに坂を登ると生い茂る緑に驚かされる。古びたレンガのトンネル。リアルラピュタと呼ばれているそうでカメラを持った若者たちが写真を撮っていた。ラピュタもコケもシダも緑も大好きな私も1人で大興奮。

猿島はかつて東京湾を守る要の役割をしていた〝要塞の島〟だったそう。上から敵に見つからないよう木々で覆われていたり長いトンネルも光が漏れないように斜めになっているそう。海からわずか5分歩くと突如あらわれる重厚な雰囲気。

↑砲台跡

自然豊かな猿島。随所に奥深い過去が垣間見える。
今度行くときは事前に調べてゆっくり訪れたいと思いました。

猿島へ1時間程滞在し三笠桟橋まで戻ってきた。船を降りてすぐの三笠公園。そこにある記念艦三笠の艦内をまわることに。三笠は日露戦争で東郷平八郎司令長官が乗艦する連合艦隊の旗艦として大活躍したそう。 現存する世界最古の鋼鉄戦艦であり、日本遺産の構成文化財に認定されている。


艦内を見て歩くと、当時の船員さんたちの様子や部屋を見ることができてこちらも大興奮。

甲板に出たり間近で主砲を見たり。厨房には皿やコップが揺れても落ちない工夫がされていた。

ハシゴを登り一番上のかつて司令長官が戦闘の指揮をとった場所から海を眺めていると、これはもしかして伝声管!天空の城ラピュタで見たことがある!と謎の喜び。

筒らしきものがあれば望遠鏡かと思って覗いてみたり、自分的に解釈してやって見るもののそうでは無いものばかりだ。

ふと周りをみると、先ほどまで誰もいなかった甲板にいつのまにか海軍の制服を着たトップらしき方々が数十人登場していた。上にいた私たちパニック。皆、外人さんやん。そのうち、私たちのいるところへ梯子であがってきて爽やかに話かけてくれたのだけれど英語分からず。
まるで映画のワンシーンのような光景でした。さすがに一緒に写真をとは言えず笑顔で挨拶だけさせて貰いました。こちらも良い思い出に。

猿島に戦艦三笠とまわらせて貰ったからか、なんだか顔がキリッと引き締まりはじめてきた私たち。横須賀へ来たからにはと「海軍カレー」を食べるためドブ板通りへ。思ったほどの賑わいがなかったのは平日だったから夜に開くお店が多いのか。スカジャンが売られていて欲しくなったけれどグッと我慢✨
アメリカンなティスト漂うなかで入ったお店。

夜は更にいい感じなんだろうなと思いつつビールと海軍カレーをオーダー。カレーライスとハンバーガーの組み合わせに食べきれるだろうかと思ったけれど、驚いたのはコップ1杯の牛乳がついていたこと。福神漬けの横に一杯の牛乳て!斬新。

どうやら横須賀海軍カレー5原則というものがあって、そのなかに「サラダと牛乳をセットにして提供する」とあるらしく、脚気を予防するために海軍で提供されていた当時、栄養をさらに摂るためにこの2品を一緒に出していたという当時の慣わしなんだそう。知って納得。今度は夜のドブ板通りにも行ってみたいな✨

YOKOSUKA軍港めぐりは、アメリカ海軍や海上自衛隊の艦船を間近で見ることができる、日本で唯一のクルージングツアー。案内をしてくれるお兄さんが、まるでディズニーランドのアトラクションを説明する人のようで本当に楽しい45分の旅でした。

船が出てすぐ潜水艦。潜水艦の上から船員の方々が手を振ってくれていました。潜水艦を初めて見て興奮。

マッキャンベル。アメリカ海軍のミサイルを搭載している護衛艦。

船にまったく興味の無い私。当初、軍港巡りってどうなのと思っていましたが潜水艦2隻やイージス艦、空母を見ることができたことに興奮しどおしでした。

船の性別は「女性」と聴いてなんだか嬉しかった。諸説あるようですが「元来、船を操っていたのは男性であり、そのパートナーとしての船を女性と例えた」「周囲には複数の男たちがつきまとい、常時大騒ぎしているから」など。こういった話を聞けたのもなんだか頼もしかった。

船を降りてシャトレーゼの2階はベランダもあるので横須賀港を見ながらの珈琲。こちらも友人と日光浴しながらゆっくり話ができたのでオススメです。

最後は観音崎灯台。どこにあるのか分からないので調べようとしたところ、なんと目の前にあったバス停を見ると観音崎灯台行きが。ラッキーと乗り込み30分程すると海が見えてきた。わぁ。海沿いをバスで走るなんて予想もしていなかったからまた興奮。そして到着した観音崎。


歩き始めるとすぐにウグイスの囀ずりと波の音。テレビ番組で見ていたという友人。
日本で最初にできた洋式の灯台。


季節によって灯台に上がれる時間が違うそうで、私たちが行ったときには閉まっていたけれど灯台と空、そして海がきれいで満足しました。近所の人が犬を連れて散歩しているのものどかで良かったなぁ✨


初めての横須賀。天気に恵まれ、大好きな自然や見たことのないものに触れることもできて大満足。海軍カレーもハンバーガーも美味しかった。

ワクワクさせてくれた友人に感謝。さて次はどこへ行けるかな?知らない町を散策したり旅ができることへ感謝の気持ちが湧いたけれど、もうひとつ。日本へ生まれたことへの感謝が湧いた1日でした。

今を、今日を大切にしよう。

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