腎臓リハビリテーションの必要性と運動の効果について解説します。

私は腎臓病に対するリハビリを主に急性期の病院で行っている理学療法士です。おそらく腎臓病に対するリハビリでは院内で一番詳しいと思います。←範囲狭い(-_-;)

詳しく後述しますが、腎臓病患者は増加傾向で透析に至ると身体機能の低下が著しくなります。

今後も増え続けるであろう腎臓病に詳しいセラピストの不足を感じています・・・・

ブログやTwitterでも腎臓病含む内部障害系のリハビリについての発信を続けていますが、より専門的な知識を若手セラピスト中心に広げていきたいと思っています。

腎臓病患者は筋力や運動耐容能が低下していく特徴的な疾患の1つです。
まだまだ腎臓病に関わらないセラピストが多いので、あまり運動耐容能が低下するということに馴染みがないかもしれません。
ただ腎臓病は運動耐容能の低下はすごく引き起こされやすく、さらに筋力も低下しやすい疾患です。その結果ADLにも影響するというリハビリが重要な疾患なんです。

そんな腎臓病患者へのリハビリの必要性について説明していきたいと思います。



さっそく本題です!


[目次]

①腎臓病と透析患者の推移
②リハビリの必要性
 ★診療ガイドラインや日本・世界のリハビリの位置づけ
 ★病態から見た必要性
③腎臓病患者の身体機能
④負荷量
⑤リスク管理
⑥運動の効果(文献を用いて)

この順序でお話しを進めていこうと思います。



腎臓病と透析患者の推移

腎臓病患者は増加傾向にあり、かつ透析患者も同じように増加傾向であります。

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増加傾向にある理由としては糖尿病の増加が背景にあるでしょう。
糖尿病の3大合併症の1つに糖尿病性腎症があります。日本はアメリカほどではありませんが、生活習慣病患者が急増しています。その結果、糖尿病患者が増え、必然と糖尿病性腎症による慢性腎臓病の患者も増えているというわけです。

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一昔前は先天的な理由や糖尿病が関係ない腎臓病も多く、むしろその方が糖尿病性腎症よりも患者人数が多かった時代がありました。
現在では腎臓病と原因となる疾患は糖尿病性腎症が圧倒的に増加し、数値が逆転しています。

腎臓病内科や透析室に出入りする私にとってはなじみのある疾患になりますが、若手セラピストは腎臓病患者を見たことがないから関係ない。そんな風に思うかもしれませんが、今までリハビリを担当してみてきた患者を思い出してみてください。
既往歴に「慢性腎臓病」などの腎疾患を持っている患者のリハビリを担当した事はありませんか?

かなりの人数の方が経験あるのではないでしょうか?
既往歴まで含めるとおそらく臨床経験3年もすれば経験があるのではないでしょう。

整形疾患でも脳血管疾患でもがんでも、他の内部障害の疾患でも既往歴に腎疾患があることが多いのです。

それだけ罹患患者が増えてきていると言うわけです。


リハビリの必要性

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