展示作品【365日ハレの日】
作品のテーマ
お餅はハレとケの代表とも言える日本食です。
時にはお供えとして、時には祝いの席にて。
時には投げたりもする、他には無い特別な食べ物です。
ですが、様々な情報が溢れ、私たちの暮らしの様子も変化し、ハレとケの一つ一つの意味や物語をお伝えすることが難しくなってしまいました。
文化の役割とはなんなのでしょうか。
この作品は私が思う、お餅文化の現在の状態を示しています。
お願い
今回、この作品を作るにあたり、こちらの記事を作らせていただきました。
作品をご覧になられて、こちらの記事を読んでいただいた方に、ほんの少しのご提案をさせていただきたいのでもうしばらくの間、読んでくだされば幸いです。
皆さんには"日常の中に埋もれたお餅"に隠されているメッセージを一度考えていただきたいと思います。
日常
今、目の前にある"食材"これは日常的に口にする食べ物ばかりです。
スーパーマーケットに行けば買えるものばかりを揃えさせていただきました。
その中で、1つ特別扱いをさせていただいたのが、私が扱う"お餅"です。
日常の中にフと、おめでたい事が舞い込んだような、そんな状態を作品で表しています。
お餅は皆さんのイメージ通り冬に、それもお正月に食べるイメージがある食べ物です。
そんなお餅が日常にフと紛れこむと、なんだかおめでたいような、特別なような。そんな存在になっているのではないかと思い、表現しました。
文化は忘れ去られる
なんだか特別な食べ物のように感じるお餅ですが、何が特別なのかは忘れられています。
なぜ、お餅を供えるのか。
なぜ、お餅を投げるのか。
なぜ、お餅を担ぐのか。
何の為なのか?
そこの文化の中身は忘れ去られています。
お祭りの御神輿はなぜ担ぐのか?ということに似ています。
楽しいからお祭りに参加しているという方がほとんどなのと一緒で、文化は忘れ去られるものなのです。
時代が移ろい、時が過ぎ、情報が溢れて、段々と埋没していってしまう。それが文化です。
文化は財産
皆さまに考えていただきたいことが1つ。
「文化はどこから生まれたのか」
この作品の大テーマは、こちらにあります。
私が取り扱う"お餅文化"はこの作品が表すように、日常に埋もれかけている状況です。
私は埋もれかけているお餅文化に少しの手をかけ、舞台を作ろうとしている人間です。
"文化は財産である"という思いを胸に、お餅に携わる仕事を生業とさせていただいています。
文化の生まれ方
「文化はどこから生まれるのか?」
この問いに対して私が出した答えは、
「文化は心のゆとりから生まれる」です。
人が何かに没頭して、
美しいだとか、楽しいだとか、悲しいだとか、嬉しいだとか。
そんな感性を抱いた時にカタチになるもの。
それが文化が生まれるキッカケとなっています。
つまり、人の想いによって生まれるものです。
人が持つ心によって生まれる。
しかし、心のゆとりが無ければ感情は育たず、未熟なものしか生まれない。
それによって「文化は心のゆとりから生まれる」という答えに行き着きました。
文化は忘れ去られることの本質
現代に生きる私たちは物凄い量の情報の中で生活をしています。
インターネットの普及、SNSの普及。
IT革命の時代が訪れたことにより、情報の選択肢が膨大になってきました。
選べる贅沢を手に入れた反面、
情報過多によって文化が埋没している状況。
文化の生まれ方を定義した時に、私はこう思いました。
もしかしたら、
「"贅沢を手に入れた"と思っている私たちは、
"心のゆとりを亡くした"のではないか?」
日々の暮らしに豊かさを
私が扱うものは"お餅"です。
今回の展示作品をご覧になられた皆さんに伝えたいことがあります。
お餅に隠したメッセージは、
[お餅文化を考え、心のゆとりを持ってほしい]
ということ。
文化を生み出すのは心のゆとり。
その豊かさを考えてほしいと願った展示作品を作らせていただきました。
11月3日は文化の日です。
この日は文化を考え、心にゆとりと、豊かな感情を育む日にしていただきたいと私は思います。
あとがき
作品展示の会場でこちらの記事を読んでいただいた方へ。
時間をかけて、ここまで読んでいただいたことを想像すると、とても嬉しいです。
実は、作品を作る前にこの記事を書き上げました。
僕は普段はお餅屋をしています。
この会場で作品を展示させていただく機会をいただいたのですが、前日の今日まで何を表現するか悩んでいました。
アーティストではない、お餅屋の僕が、どう文化をテーマに表現できるか。
悩み抜いた末の答えが"文字でテーマを伝える"でした。
作品から感じていただく美学もあるかもしれませんが、僕は話したり、書いたりすることが得意な人間です。邪道かもしれないですが、作品の意図が伝わる方が僕は嬉しいし、その方が見た方も納得できると思ったからです。
まどろっこしく、作品にQRコードをつけて展示して、ここに長ったらしい文章を書いて。
軽い気持ちで開いた方には申し訳ないですが、伝えたいものがあるから、僕はこのやり方をさせていただきました。
そして、ここで書いた文字を商品に表すのが本当の仕事です。
作品展示は期間限定ですが、僕はこれからも商品を生み出し、お餅文化を伝えていきます。
作品はまだまだこれから生み出しますので、お楽しみに。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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