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検査について

【SHIATSU TALKS #9

さて、前回は問診についてのお話でした。
今回は指圧をする前の検査についてお話ししたいと思います。

指圧のような徒手で行う施術は、どうしても自分の"勘"や"感覚"で物事を考えてしまいがちなのですが、これからの時代は特に、お客様側にも施術者側にも、エビデンスや情報の共有というものが大事になってくると思います。

施術の流れとしては、問診でお客様の大まかな情報を得て、検査により治療方針を決めていき、「もしかしたらあそこが悪いんじゃないかなぁ」と想像して、検査をすることで「やっぱりね」と確信するというイメージで僕は施術を行っています。

いい施術者ってどんな人?

いきなりですが、皆さんは"いい施術者"と聞くと、どんな人を思い浮かべますか?

漠然と、"いい施術者"と言われても、定義は色々あると思いますが、僕の思う"いい施術者"とは、

"ちゃんと納得のいく説明をしてくれる"人です。

1.あなたの身体はこうなっています。
2.だからこのような症状が出ていると考えられます。
3.なので、こういう施術をしていきます。

のように、建設的かつスマートに、安心のできる説明をできる施術者は、あなたの力になってくれると思います。

もしかしたら、"指圧が上手な施術者"と思った方もいるかもしれません。

「説明できても下手くそだったらどうするんだよ!」

なんて声も聞こえてきそうですが、大丈夫。説明が上手な施術者は、指圧も上手ですよ。

正しい検査が行えなければ、お身体の説明はできません。
是非、施術を受ける際の、参考にしていただけたらと思います。

検査の種類

SHIATSU CAMPで行う検査は以下の3種類です。

①整形外科検査

名前の通り、病院で行われるような検査であり、他動的なアクションを起こし、痛みの有無を判別することが検査の主になります。
勿論、我々指圧師はレントゲン等を撮ることができないので、徒手による検査のみ行います。
この時に、明らかに内科的疾患の可能性や、指圧施術の範疇を超えた症状などを見極め、病院への受診を勧めることもリスクマネジメントとしては重要になります。

②神経学検査

身体に存在する神経は、筋肉を動かす”運動神経”、痛み等の感覚を司る”感覚神経”、内臓を調節する”自律神経”の3種類からなります。
基本的に自律神経の検査は、徒手では行えないので、ここで行うのは運動と感覚の検査ということになります。
運動神経は、特殊な筋力検査によって行い、感覚神経はデルマトームという神経分布に沿って見ていきます。

③関節可動性検査

理学療法士の方々が行う”可動域検査”とは少し違い、関節の微妙な可動性(動き)を検査します。
一般的に”歪み”などと呼ばれることが多いですが、正しくは関節は歪みません。
お客様に対してわかりやすく”歪み”と伝えることは稀にありますが、一般的な歪みというものは、この関節可動性のこと。この件に関しては、また後述します。

なぜ検査をするのか?

冒頭で触れましたが、検査は施術者とお客様の情報共有になるということです。

例えば、あなたが
「肩が痛いんです」

と指圧を受けに行ったとして、

「あーそうですか」
と言いながら、問診も検査もせずにいきなり指圧…。

もし、あなたがそのようにされたらどう思いますか?

問診や検査をしない施術は完全にリスキーです。
目を瞑って運転するのと同じことです。

「俺、運転上手いから目を瞑ってても平気だよ!」

なんてやつの運転には誰も乗りたくないじゃないですか。

症状の原因というものは様々なわけで、肩関節に炎症があるかもしれないし、石灰化しているかもしれない。

出来るだけ症状を把握して、まず指圧施術で改善ができるのかを判断しなければなりません。

なんで痛いのか分かりやすく教えてくれて、どのような施術をしていくのか、治療にはどのくらいの期間を要するのか?等の説明があると、お客様側も安心すると思います。

ここで大事なことは、お客様の為であることは勿論、施術者が自分を守るためでもあるということを理解していただきたいのです。

施術者目線での検査とは?

検査が、お客様のためにあるということは、前述した内容からもわかっていただけたのではないかと思います。

ここでは、少し角度を変えて、施術者の立場での、検査の必要性ということをお話ししようと思います。

先程、整形外科検査のところで、"リスクマネジメント"という言葉を使いました。
少し業務的で、嫌な感じに思うかもしれませんが、あえてこの言葉を使います。

さて、僕らの仕事とは、なんでしょうか?

「指圧をしてクライアントを少しでも良くすること」

イエス。
その通りだと思います。

でも、その前にとても大事なことがあります。

「クライアントを悪くしないこと」

です。

もし、これを一般の方が読んでいただけているのであれば、「??」と思われるかもしれません。

しかし、これは我々の仕事でとてもリアルなところなのです。

指圧は決して万能な治療法ではありません。
よくなる症状もあれば、ならない症状もある。
施術者の腕にも差がある。

問診や検査をして、症状の原因を出来るだけ特定することで、症状の改善という正解までのパズルを穴埋めしているわけです。

もし、あなたが行きつけの飲み屋のカウンターで飲んでいて、隣の人が

「昨日指圧受けたんだけど、良くならなかったんだよね」

と聞くのと、

「昨日指圧受けたんだけど、逆に悪くなったよ」

と聞くのでは、大きな違いがありませんか?

症状を改善出来ていないならまだしも、悪化させてしまったらそこの治療院には二度と行きたくないと思いませんか?

そうなんです。この二つの言葉には雲泥の差があります。

ここからもわかるように、症状を悪化させてしまうということは、我々指圧師が絶対にしてはいけないことなんです。

最低限の、正しい検査を行えば、症状を悪化させてしまうリスクはかなり低くなります。

正しい検査は、指圧師であればちゃんと学校で勉強しているはずです。変なセミナーなんかにいく必要はありませんよ。

万能な治療法などはありません。神の手など存在しません。神の手に一歩でも近づきたいなら、お客様の信用を得ることだと思います。

何事も基本が大事。基本が一番難しい。

president



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