見出し画像

【01Night】「起業の具体的なステップはどうなっているのか?」


皆さんこんにちは!
今回は【01Night】「起業の具体的なステップはどうなっているのか?」から内容を再構成し、起業の最初期のアイディアを考える段階からスケールまで、各段階で気をつけることをまとめていきます。

こんな人に読んでほしい!
・起業に興味のある方
・これから起業を考えている
・起業を既にされており、これから事業を加速させていかれる方
今回お伝えする内容は本当に基本的なことです。何かに焦ってしまっている時、自分にとって必要な項目をふと見返していただけると初心に立ち返ることができると思います。

画像1

スピーカー
合田 ジョージ
株式会社ゼロワンブースター / 共同代表・取締役
MBA、理工学修士。東芝の重電系研究所・設計、国際アライアンスや海外製造によるデザイン家電の商品企画。
村田製作所にて、北米およびMotorolaの通信デバイス技術営業後、通信分野の全社戦略に携わる。スマートフォン広告のNobot社のマーケティングや海外展開を指揮、KDDIグループによる買収後には、M&Aの調整、グループ子会社の海外戦略部部長。
現在は01Boosterにて事業創造アクセラレーターをアジアで展開中。

0.この記事の要点

まずは許容できるロスの中で、小さいアイディアに乗ってきた人とやってみることで、「事業創造プロセス」を実際に体験しながら学ぶべき。
「起業する」ことに囚われず、スタートアップにまずは転職・プロボノで参加してみることも一つの選択肢。
起業の準備として定期的な支出を減らし、起業資金はポケットマネーから始める。
商品の価値を認識し、値段をつけ、「有償であること」を前提に話す。

アイディアは偶然発見するものではなく、小さな学びを積み重ね、膨らませ洗練していくものである。

1、起業を始めるときの心構え

「起業」を考えたとき、あなたはどんなことを思い浮かべますか?
強い思い」や、「きっかけ」が大事と思われたかもしれません。

しかし実際には、

「小さなアイディアを許容できるロスの中で始めてみる」

ことが大切です。
なぜなら走ってみなければ「事業創造プロセス」を実際に体験し、学ぶことはできないからです。

起業時に必要と言われる「計画」も同様です。
どれだけ緻密な計画でも、実際はその通りにはほとんど行きません。
もしあなたがVCのような出資する立場だったら、どちらに出資したいでしょうか?

A計画は緻密にできているが、プロダクトはできておらず、ユーザーもいない
B:計画はAより粗いが、プロダクトがあり、ユーザーも少しずつ付き始めている


当然、成果を出しながら学んでいるであろうBに出資したいですよね。

この点は市場調査も同様で、スタートアップは「まだ誰も気が付いていない市場」に参入します。市場調査を始める前に、まずプロダクトを作って売ってみる、その一歩の方が重要です。

この点について合田さんは、

MBA時代の仲間3人と、それぞれ10万円ずつ出し合って、Memories of Tokyo siteというものを始めました。そこには強い思い1000万円のような大きなお金もかけていません。
許容できるロスの範囲内で、ちょっとしたアイディアに乗ってきた人と組んでやってみると、お互いに足りない部分を補完しあいながら進むことができ、その中で実際に事業創造プロセスを経験することができました。

と語ります。
この時、うまくいかなかったとしても、許容ロスの範囲内なので、大きな損にはなりませんし、極端にメンバーの仲が悪くなるということもありません。

結論:
まずは許容できるロスの中で、小さいアイディアに乗ってきた人とやってみることで、「事業創造プロセス」を実際に体験しながら学ぶべきです。

2.サラリーマンから起業へのキャリア転換について

あなたがサラリーマンだった場合、「起業するには会社を辞めるぐらいの覚悟が必要」と、なかなか一歩を踏み出せないかもしれません。
しかし実際は最初から大きなリスクは負うべきではありません。

現在はプロボノ副業といった多様な方法でスタートアップに関わることができます。
いきなり会社を辞めるのではなく、まずはスタートアップのスピード感、価値観、文化を学ぶため、プロボノ・副業などの選択肢から徐々にスタートアップに近づいてみてはどうでしょうか?

もしそのスタートアップが合っているなら転職してしまうのもいいかもしれません。「起業する」ということに囚われずに選択肢を吟味しましょう。

大きな初期投資の必要な分野でも同様です。
起業ではなく、スタートアップにジョインしてみる。何か新しいことで世界を変えようとするとき、ジョブズのようなリーダーの存在が注目されがちですが、ウォズニアックのようなフォロワーの存在も同様に大切です。

結論:
「起業する」ことに囚われず、スタートアップにまずは転職・プロボノで参加してみることも一つの選択肢。

3-1.起業資金をどうするのか?

この章では起業をするにあたって必要な「お金」についてを見ていきます。

起業の際、「定期的な支出を減らす」ことが最重要です。

起業をするとしばらくお給料がないということが当たり前で、数年程度それまでに用意した資金で運転を続けなければなりません。
その資金を無駄なく活用するために、例えば家賃の低い家に引っ越す、車を売却するなど固定費をできるだけ下げる努力が必要です。

起業のための資金を用意するためにローンを組むという人も多いようですが、本当に必要でしょうか?

Post-COVIDでは、ベンチャーは資金を大規模に獲得し赤字を深く掘りながら成長するユニコーン型から、キャメル型というユーザーのニーズに深く刺さる、本当に必要とされるプロダクトを作るカタチへと変化していきます。

大きなリスクを取るのではなく、許容できるロスの範囲内で、もしくは3F(Familiy, Friends, Foolish(お前なら出してやるよ、という気前の良い人))といった周囲の人間から集めた資金で十分ではないでしょうか?

これからはスタートアップの世界でもリスクの管理がより重要になります。

ここまで、「やらないほうが良い」話をしてきましたが、逆に「やっておいたほうがいいこと」はなんでしょうか?

「起業家になるとできないこと」は信用が重要な、家を借りること、カードを作る、の2点です。
この二つは起業前の準備の一環として済ませて置きましょう。

また、「ラーメン代を稼げるようになっておく」ため、自分の得意分野でコンサル等ができるようにすることも重要かもしれません。
苦しい時に、しっかりと自分の手でお金を稼ぐことは、自分を守るために必要な手段です。

3-2.自分の商品に値段をつける

創業初期、自分のプロダクトに自信が持てず無償でプロダクトを提供してしまうことがあります。

「試してもらう」という点ではもちろん無償で、も一つの戦略かもしれません。
しかしプロダクトの価値を認識し、価格をつけ、それを前提として話すことが必要です。なぜならプロダクトを提供した後に「やっぱり有料で」というのは顧客にとっても「話が違うよ」となってしまい、双方の関係性に悪影響を与えるだけだからです。

「無料で提供し、フィードバックをもらう」「有料でちゃんとした商品として提供する」このさじ加減は難しいですが、悩むよりも試してその感覚を掴み、次につなげましょう。

結論:
起業の準備として定期的な支出を減らし、
起業資金はポケットマネーから始める。
商品の価値を認識し、値段をつけ、「有償であること」を前提に話す。

4.起業のアイディアはどうするのか

さてここからは最も重要な要素の一つの「アイディア」について見ていきます。

Y CombinatorのPaul Grahamは、「そのアイディアは見つけたものなのか?」と語ります。この真意はどういう意味なのでしょうか?

アイディアはその質と量をインプットに依存しています。ですから一か月などの期限で情報をインプットする期間を設けるとアイディアは出てきます。しかしながら、世界にはそのようにして作られたビジネスアイディアがあふれかえっています。

実は、ビジネスアイディアで重要なのは、
それらの中からアタリを引くことではなく、一つ一つ思いついたアイディアを試していく中で、小さな学びを積み重ね、アイディアを人と話し、共感し、膨らませる・洗練させていくことなのです。

例えば、とあるプロダクトを作って売ってみたとしても、それは多くの場合大きくは成功しないでしょう。しかしその過程で「想定していた層とは違う層に買われた」「記事のPVが伸びた」など、ちょっとした予想外の学びがあるかもしれません。

アイディアを作る際に「市場調査」や「ヒアリング」をしなければ、となかなか踏み出せない方がいらっしゃるかもしれませんが、重要なのはじっくり対象を観察し、課題を設定し、それを解決するプロダクトを作り、売り、そこからフィードバックを得て小さな学びを積み重ねる。優れた課題解決、アイディアはそういったギャンブル的な偶然ではなく、堅実な行動と学びの積み重ねから見つけることができます。

アイディアは「何かを作り出す」というものではなく、小さな学びの積み重ねを「組み合わせてみる」もの、それが本来のアントレプレナーです。

結論:
アイディアは偶然発見するものではなく、小さな学びを積み重ね、膨らませ洗練していくものである。

・アイディアを真似される可能性
アイディアを膨らませより確かな物にしていくためには、積極的に人と共有し、共感を集める必要があります。しかしMVP(Minimum Viable Product)を市場に出し、アジャイルに開発したいと思っても、「誰かに真似されてしまうのでは?」「大手に真似されたら市場に出しても勝てない」と臆病になってしまうかもしれません。
しかしそういったことを心配してフィードバックを得られない状況よりも、積極的に外に出し開発速度を加速させることの方が重要です。
一方で、「同じようなアイディアを思い付き、同時期に発表する」ことはよくあることですから、開発の段階から対象をよく観察し、フィードバックを集め、独自の提供価値に磨きをかけるほかありません。
・グレーなアイディア
法的にグレーなアイディアを深く攻めていくのは一般企業にはできず、スタートアップの役割の一つと言えるかもしれません。しかしグレーなアイディアの場合、規制の強い日本でやる必要はあるのでしょうか?海外で一度展開してから逆輸入するという手段もあるかもしれません。グレーだから、リスクがあるからと諦めず、必ず実現させる道はあると信じてあらゆる可能性にトライしてみることが重要です。

5.チームをどうするのか?

Webサービスやアプリケーションのアイディアを思いついたとしても、エンジニアがいない!という理由で諦めてしまった、あるいはその手のアイディアを最初から考えないようにしている、という方も多いかもしれません。

近年ではコーディングのスキル・知識がなくてもある程度のクオリティでシステムを構築できる「No-Code」のサービスによってWebサイト等は簡単に作れる時代になっています。スキルの有無で諦めることなく実現への道を探してみるといいかもしれません。

チーム内でのリスク管理については、近年は起業のコストがとても下がっているため、前述の通り各人がまずはポケットマネーで、互いに補いあいながら進めてみることも一つの選択肢です。

株式会社とする場合、「必ず揉める」ため、リスクを一番背負っているメンバーに株を6割以上持たせるなど、株は等分せず誰かに必ず寄せましょう。
・堅実なファミリービジネスの仲間の集め方
急激な成長を求めてスタートアップに興味を持つ人間が多い一方で、堅実なビジネスに興味を示す人間は少ないのでは?と思考がスタートアップのカタチから抜け出せないでいる方もいるかもしれません。
確かに急激な成長というポイントはありませんが、しかし堅実なビジネスも存在する社会的意義、意味を持っていて、それを語り続ければ興味を持つ人間は必ず現れます。
人間はともに長く共に走れば走るほど、お金ではなく存在意義を求めるものです。そのことをしっかりと認識して、意味や存在意義、ビジョンを普段からしっかりと深掘りしておくべきでしょう。

6.おわりに

今回は起業に一歩踏み出すという段階で必要な考え方、心構えなどをまとめてきました。起業に挑戦する各段階で初心に返りながら読み返していただければ幸いです。

文中では「こうしたほうが良い」など様々なアドバイスを展開しましたが、実際には状況によって最適な考え方は様々ですし、具体的なケースによって打ち手は変わってきます。

これについて01Boosterは「創造をルーティーンに」をビジョンに、アクセラレーターとして様々な新規事業にまつわるプログラム(アクセラレータープログラム)を開催しております。ぜひこちらもご活用ください。

また、【01Night】では平日の昼、夜に様々な領域のスタートアップに役立つ配信を行っております。
アーカイブはYouTube、記事はnoteからご覧いただけますので、もしご興味がありましたらご確認いただければと思います。

【01Night】「起業の具体的なステップはどうなっているのか?」イベントレポートを最後までお読みいただきありがとうございました。

>>>>>>>>>>
Writer:王 翔一朗(わん しょういちろう)
>>>>>>>>>>


「事業創造をルーティーンに」、新規事業に役立つ記事を今後もたくさんお届けします!「役に立った!」という記事がございましたら”いいね!”やサポートいただけると嬉しいです!