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マイナス7度の街

私が住んでいるところは、今朝はマイナス7度。マイナス7度と言っても、私が18歳まで住んでいた秋田市と比べると、ぜんぜんどうってことない。秋田の強風と濡れた重い雪と、いつまで続くんだろうという絶望的な量の降雪に比べると、カラッとしてて晴れてて風がなく雪がぜんぜん降らずなので、マイナス7度の街の方がずっと住みやすい。

雪国にもいろいろとグラデーションがある。このグラデーションは私が雪国にばかり住んでるから、余計に感じやすい。たっぷりとした湿気を山沿いのエリアで重い雪として落としてくるせいか、マイナス7度の街には、サラサラの細かい軽い雪が降る。

一番寒いのは雪が降る朝ではなく、澄んだ青空が広がるぱっかーんと音がしそうなほどの晴れの日。そういう日は放射冷却でギンギンに冷えて、道路が恐ろしいほど凍って、車はきゅるきゅるとタイヤを滑らしている。雪は少ないけれど、溶けた雪の水分ががちがちに凍るので、そういう日はスケートリンクみたいな道を歩く。

この寒い期間、耐えるように過ごすことがなんだか損な気がして、むかしは南国に移住してやると思っていたけれど、35も過ぎてくると冬には雪と寒さがないともはや寂しい。あと、ターシャ・テューダさん(ちなみに彼女のファンなんだけど)の、バーモントにある家に降る雪を見ていると、なんだ私が住んでいるとことたいして変わらないじゃないかとなって、寒いのも悪くないんじゃないかと思ってしまう。

寒さを楽しむにも知恵がいるけれど、寒くないとできないことや寒くないと美味しくないものがあったりする。なんの因果か雪国に生まれて、生まれてずっと雪国に住んでいるけれど、マイナス7度の街もなかなか悪くないんじゃないかな。



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