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生成AIを前にした今、人間の価値とは?

そもそも我々人間とはなにか、生物とはなにか。

この宇宙の物理法則が130億年の間に生み出した結果である。


高校物理を思い出してほしい。
「熱力学の第二法則 エントロピーは増大する」

エントロピーとは物事の乱雑さのことで、例えば

  • 液体の水(より整っている)より水蒸気(より散らかっている)の方がエントロピーが高い。

  • ガラスのコップのエントロピーは、割れて粉々になったガラスより低い。

ガラスのコップは割れて粉々になる(エントロピーが増大する)が粉々になったガラスが自然にコップに戻ることはない。

誰かが仕事をして破片を引っ付ければもとに戻るが、そのためには別の場所でエントロピーが増大する必要がある。

(部屋がすぐに散らかってしまうのもそれは宇宙の法則だから仕方ない。)



宇宙の始まり=ビッグバンは究極にエントロピーが小さい(片付いている)状態で、この宇宙が始まって以来、宇宙全体のエントロピーは増大し続けている。

そしてエントロピーが増大しきった状態が「宇宙の熱力学的な死」つまり宇宙の最終的な姿だと言われている。

これはコーヒーに入れた牛乳が混ざりきった状態によく似ている。

地球は太陽から受けたエネルギーと同じ量のエネルギーを宇宙に放出している。でなければ地球の気温は上昇し続ける。

しかし、エントロピーは増大している。可視光で受けて赤外線で放出しているのがその証拠だ。

そして我々生物も同じである。
植物は太陽光を受けて光合成して酸素と糖を作るが、その代わり赤外線を出す。

人間は植物の糖を食べて生命を維持するが、代わりに赤外線を出す。

あなたがそこに存在しているだけで、存在していない時よりもエントロピーの増大具合は加速している。
我々生物はエントロピーの増大機である。

「エントロピーは増大する」という宇宙の物理法則が130億年働いた結果として、生み出されたのが我々生物で、その生物は見て、感じて、考えることができる。

ミクロでみれば様々な化学反応がエントロピー増大の道を突っ走っているだけ。その集約体であるだけの我々は、見て、感じて、考えることができる。

すごい。



逆に我々が人間の本質だと思っていた抽象的な「意識」は進化の過程で生まれた新しい機能で、生命の本質では無いのかもしれない。

だから、意識のようなものは生成AIで作れてしまう。データを十分に用意すれば、僕のように話すAIも出来てしまう。所詮はそんなものか。

それよりも、AIには到底真似できないこの身体。

様々な化学反応が起きて、60兆個の細胞が相互作用する身体こそが我々人間の本質的価値なのかもしれない。


生物とエントロピーについてBrian Coxの話は面白い。




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