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ハナミズキ

ハナミズキが満開だ。
明日、雨でも降れば散りはじめるかも知れない。
それぐらい、いまが満開だ。

ハナミズキの木は家の東側にある。
畑と軒先の間に植えられた庭木のひとつだ。

昔からある。
もうずいぶん古い木になっている。
高さは3メートルぐらいか。
いや4メートルぐらいあるかも知れない。
とにかく大きい。

大小二つの脚立は、家の西側の軒下にいつも置いていた。
小さい方の脚立をハナミズキのある家の東側に運ぶ。

木の北側、3メートルくらい離れたところに
畑の畝と畝の間に運んできた脚立を立てる。

脚立がぐらつかない地面の選び脚を広げる。
ストッパーをしっかりはめて外れることがないか
二、三度、ガチャガチャ、音をたてて揺らしてみる。
大丈夫だな。声なく呟く。

小さい方の脚立には4段の踏み台がある。
下から順に静かに最上段の天板まで上がる。
天板の高さは男の腰あたりだから
1メールと20センチといったところか。

たとえそれぐらいの高さでも天板の上に立てば
視界はまったく違う。
ハナミズキを少し見下ろす格好になる。

満開の様子をしっかりカメラにおさめるには
これぐらいの位置がいい。

スマホの電源を入れてカメラを起動する。
持った両腕を思いっきり差し上げながら
両腕の先にあるスマホの中の満開のハナミズキを覗き込む。

いいじゃないか。

慎重にシャッターを押す。

念のため、もう一枚。

差し上げた腕を下ろして
いま撮ったばかりの写真を確認する。

脚立を降りて
木の北側から今度は東側に移動する。

地面を選び脚立を立て天板まで上り
両腕を差し上げて写真を撮り確認する。

終わったら
次は木の南側から。

ハナミズキ、いまが満開だ。

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