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終点まで

11月の雨でこびりついた枯れ葉を踏みしめて歩く背中は老人のそれだった。もう一枚羽織ってくればよかった。後悔したが引き返すつもりはなかった。

こんな時間にバスを待つ人間はいない。このままバスが来なければいつまでもここにいられるんだが。考えていたらバスが来た。仕方ないから乗る。他に乗客はいなかった。

行き先はなかった。いや終点まで。それが行き先だ。喫茶店。クリーニング屋。コンビニ。郵便局。高校生。ガソリンスタンド。老夫婦。自転車。ケーキ屋。銀行員。スーパー。主婦。みんな雨に濡れていた。誰もバスには乗ってこなかった。ずっとひとりだった。

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