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インターネット原産天使 ¥時価(遺伝子組み換えでない)~NEEDY GIRL OVERDOSE感想~

ネタバレ無し 決闘! 人類VS承認欲求

 人の世はとかく争いが絶えない。身近な例を挙げるのならば、承認欲求との付き合いだろうか。こうして文章を書いて発表することが増えたが、個人的にはあまり数字にとらわれることなく続けていきたい気持ちはある。しかし、反応見たさにSNS断ちを破ってしまうし、公開したTRPGシナリオの伸びが悪いとちょっと落ち込む。SNSに触れていると、承認欲求に踊らされている自分を感じる。
 少し悪い書き方をしたが、承認欲求自体は社会生活を営んでいく上で必要なものではある。ここで言う承認欲求は「他者承認欲求」というもので、読んで字の如く他者から認められたい(承認されたい)欲求を指す。認められたい、という気持ちがモチベーションになって、嫌な事でも取り組めたり頑張れたりする現象は、この欲求に基づく行動であるといえよう。もう一つの承認欲求「自己承認欲求」についても語りたいが、本筋とは外れるので割愛する。
 とにかく、動機が不純でも、結果が出ればいいじゃないか。何事も適量であれば良い薬になるのだ。とはいえ、楽にそれが出来ないから我々は苦悩しているわけだが。
 気を取り直して元気に行こう。今回紹介するのは「NEEDY GIRL OVERDOSE」である。

 NEEDY GIRL OVERDOSEは2022年にSteam、同年にSwitchで発売されたアドベンチャーゲーム(個人的には育成ゲームに近いところがあると感じた)である。あらすじはざっと以下の通りである。

 承認欲求の強い女の子・あめちゃんは、己の承認欲求を満たすため、配信者となることを決意する。プレイヤーは彼女のピ(恋人?兼プロデューサー)として、30日以内に配信者・超絶最かわてんしちゃん(超てんちゃん)の登録者を100万人にするべくマネジメントを行っていくこととなる。

 あえて言葉を選ばずに言うのであれば、あめちゃんはめんどくさい女だ。本当にめんどくさい。愛情は大きく重たすぎるし、依存が激しく、すぐ病むし、極めつけにやる気が出ないからと寝てしまいこちらのスケジュールをひっくり返してくるめちゃくちゃっぷりだ。しかし、手間がかかる子ほどかわいいというのは古くから伝わる通りで、こんなどうしようもない女の子でも、まああめちゃんだし仕方ないな……という気持ちになってくる。我ながら不思議だ。

 ゲームは昼・夕・夜の3ターンを繰り返して進行していく。一つのコマンドを選べば1ターン(ものによっては2ターン)消費する。基本は、昼・夕で配信のネタを探し、夜に配信を行って登録者を増やすという流れになる。プレイしながら超てんちゃんの配信を見ることができるが、分かるとニヤリとできるインターネットネタが随所に盛り込まれており、ワクワクしながら見守ることができる。我々は我々で、別の仕事をしながらの視聴になるのだが。

 各パラメーターの増減を気にしながら、100万人を目指すのはなかなかやり応えがある。各行動をとにかくやれば良いというわけでもなく、そこら中に落とし穴(エンディング)が用意されている。公式HPで「マルチ破滅エンド」とある通り、今のところ辿り着いたどのエンディングを見ても、本当に彼女は幸せになれたのか不安になる破滅っぷりだ。いっそすがすがしく、落ちるところまで落ちて破滅してくれるので、心苦しくもつい別のEDが見たくなる。
 OVERDOSEというタイトルからもう嫌な予感がしている読者諸兄も多いことだろうが、実際とんでもないことが起こる。CEROがD(17歳以上)の時点でお察しだろうが、精神に余裕がある時に遊ぶことをお勧めする。相手が一癖二癖もあるので、へこたれているときに遊ぶとメンヘラパンチで10カウントを取られかねない。

 いろいろな都合で、まだ全EDを見たわけでは無い。インターネットを漂う残滓となって、自分のペースで天使の行く末を見守りたいと思う。

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