火曜日の動物園
私には4歳下の妹がいる。古いアルバムを見ていると父と母と麦わら帽子を被っておにぎりを食べるあたし。遠くに動物が写っているのが分かる。
数年後、同じ場所で撮った写真には私と赤ちゃんの妹が写っている。被写体が2人になったことで動物はほんの少ししか写っていない。せっかくお出かけしているというのに。
アルバムには同じような写真ばかりが続く。
「ちゃんと写っていないかもしれない」
カメラマンは心配性の父だと分かる。
今みたいに撮った写真をその場で確認が出来なかったから何度もシャッターを押したのだろう。遊園地の乗り物に乗って嬉しそうなあたし。若い両親(母はとっても痩せている)。小さな赤ちゃんの妹。
ふと時間を巻き戻して、何度も行き尽くした東山動植物園へ行きたくなってしまった。
もうすぐ春だからだろうか。我慢の日々が続いているからだろうか。
どこかで読んだ本の主人公が言っていた。
『動物園は火曜日に行くといい。月曜日が休園日だから人から見られるプレッシャーから解放された翌日の火曜日の動物たちはいつもより生き生きしてるんだ』
だから私は火曜日の東山動植物園へ行こうと思う。
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