オレンジとの再会 / 2010.02.14.
あたしの中にずっとオレンジがある。
特にオレンジが大好物なわけではないのに、気がつくと、あたしのみえない一番奥の方に、オレンジはころがっている。15才くらいのころ、オレンジは強く香った。そして10代の終りになり、オレンジは次第に腐敗していったのだ。やがて、あたしから香りは消え、体中が固い石でいっぱいになった。
オレンジが帰ってきたのは、ふとしたきっかけからだ。
おととしの春、あたしは新しいカメラを手に、新宿へ向かった。その時のあたしは、風化したパラフィン紙のようだった。小さ