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新聞紙に包まれた日本酒を愛でる【義侠】 飾らない孤高の銘酒(三鷹・天野酒店)
日本酒売り場に並ぶさまざまな瓶の中でも、ひときわ目を引く「新聞紙包み」の日本酒。あえて飾ることをせず、どこにでもある「新聞紙」でざっとくるんだ潔い姿は、「逆においしそう」だと感じます。
「新聞紙包みの日本酒」をもっと愛でたい。新聞紙の感じで選んで買い、眺めながら飲みたい…。その思いを実現すべく、新聞紙包の日本酒の代表格といえる「義侠」(愛知・山忠本家酒造)を多く取り揃える東京・三鷹の酒屋さん「天野酒店」さんにお邪魔しました。
義侠大好きな酒屋さん「天野酒店」さんで義侠を選ぶ!
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店主(二代目)の天野喜仁さんです。天野さんが店を継いだ30年ほど前に義侠と出会い、その味にほれこみ取り扱いをはじめたそうです。
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ーーすみません、今日は義侠の「新聞紙包み」をたくさん見せてください!
「はい…いいですけど、なぜ?」(店主)
戸惑う天野店主。私の新聞紙包みに惹かれる理由は次の3点です。
・その地方の新聞(中京新聞)である
・熟成酒は、新聞で「プチタイムスリップ」を楽しめる
・意図せぬ配置の妙
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「先にいいますと、義侠の新聞紙は『日光を防ぐ』ために巻いています。出荷時に巻くので、その時の新聞ということになりますね。古いお酒は店にはないのですが…それでよければどうぞ。
私はちょっと奥で仕事しているので、終わったら教えてください」(店主)
それでは、天野酒店さんの義侠を選んでいきます!
新聞紙包みを愛でる①「あの頃」の思い出が蘇る
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年末の新聞でしょうか。一年あったことをビジュアルで振り返ります。飲みながら「この年こんな出来事があったなー」と楽しめそうです。
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週刊誌の広告。SMAP関連あり。東出昌大さん関連で「あなたなら離婚する?」という扇状的なコピー。時間を置いてまたスキャンダルの記憶が蘇るって、新聞紙づつみによる二次被害だな…味わい深いお酒を楽しめそうです。
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あったなー、あった。これで世論がかわった印象があります。
新聞紙包みを愛でる②「人」が映るとついつい見てしまう
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がんばれニッポン!といいたくなります。我が子の新聞を切りいて保存しているであろう親御さんが、たまたまこの義侠とであったらどう思うんだろう…などと想像します。
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楽しそう!!よくみるとパラアスリート、すごい!!
新聞紙包みを愛でる③広告も味わい深い
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体験談でしょうか。「生姜が、わかる」。ラベルの関係で、正確な訴求が伝わりきれないのが、またよいものです。
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装飾品の広告があると、急にギラついた印象に。92%OFFってどういうことだろう。ひょっとすると、義侠をのみながら「思わず問い合わせた」なんてこともあるかもしれまえん。
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「妻の声が一段と、魅力的に聞こえる。」補聴器の広告って、こんな感じなんですね。色気の絶えない、すてきな夫婦だと思います。
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2倍暖かい。これ、ほしい。普通にほしいです。
あたらめて、義侠のすごさを教えてください!
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ラベルで選ぼうと思ったものの、どれも趣があり、選びきれません。改めて、義侠の魅力を教えてもらうことにしました。
「義侠はね、お米が強いんですよ。使ってるお米は、兵庫県特A地区の山田錦。日本一の山田錦がとれるところですね。その中でも最もよいとされる区画が東条と吉川なのですが、義侠はその『東条』の山田錦なんです。
先ほど『新聞紙は日光を遮るため』といいましたが、逆をいうと『新聞紙で日光さえ防げば劣化しない』ということ。日本酒ってデリケートなものが多く、古いお酒はダメという風潮があるのですが、義侠はとても強いため、悪くなるどころか、むしろよい熟成が進んでいくんです。ワインのビンテージのようにね」
義侠は「熟成」がおもしろい!
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「義侠のラインナップはシンプルで、米をどれくらい削ったか、30%から70%精米まで。初めての人には50%あたりをすすめています。本当にきれいで、すーっと、まるで水のように飲めます。
熟成が好きな人には、60、70%あたりがおすすめ。これ(写真のもの)は70%で2020BY(酒造年度)と、少し古いもの。実はわざと常温で置いていたのですが、今の方が味がのってうまいです。
もし、義侠の熟成を楽しみたいなら、買ってすぐのむだけではなく、自家貯蔵してみてください。絶対にもっとうまくなるので。それが義侠のすごさですよ。
新聞紙の話でいうと、自宅で熟成させた義侠を飲むときに、その時の古新聞を見ながら味わえる、というのはひとつあるかもしれませんね」
義侠のすごさを、もっと知ってほしい
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「僕が義侠を扱っているのは、単純に好きだからです。約30年前、義侠の蔵いって社長本人に『なぜ義侠が好きなのか』を直訴して取り扱いがスタートしました。それからほぼ毎年、蔵に行って買い付けています。
『おいしいお酒』を言葉にするならば、僕は『気づかない間にたくさん進むお酒』だと思うんですね。最初のひとくちで『なんだこれ!』って驚きのあるお酒はたくさんあるけど、その多くは『次は(別の)何を飲もう』ってなることが多い。でも、義侠は飲み飽きせず、気がつくと飲んでしまう。
もちろん、個性的な味のお酒が流行っているし、酒屋さんの中にはそういう(流行の味にするように)アドバイスをする人もいます。でも、義侠は絶対に変えませんでした。代替わりしても、ブレていなません。名前の通りですね。
決して『獺祭』『十四代』『田酒』のように『何もしなくても売れる有名なお酒』ではないと思っています。でも、義侠には、義侠のよさがある。うちのお店にわざわざ来てくれるお客さんには、僕の好きな『義侠』のよさを知ってほしいと思っています」
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店主の話を聞き、60%の「生酒」と70%の「火入れ」の2本に決めました。後者はもちろん、自宅で追加熟成させるつもりです。
「新聞紙包み」のイメージが強い義侠。その裏には「新聞紙さえあれば大丈夫」という、酒質に対する絶対的な自信の表れがあったのですね。
義侠、時間をかけてじっくり味わっていきます。
天野酒店さん、ありがとうございました。
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