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中学校で日本酒を嗜み、学ぶ! 「酒門の会」主催の日本酒イベントをレポート

ここ数年「日本酒イベント」が活況です。
県の酒造組合が行うガチな試飲会から、地域の飲食店と共同で行う「飲み歩きタイプ」、中田英寿氏が六本木で行うセレブ感満載の「SAKEWEEK」などなど、規模もタイプも実にさまざまです。

先日「中学校でお酒を学ぶ会」というイベントに参加してきました。

「酒門の会 きき酒会 In Arts Chiyoda 」

主催は「酒門の会」
全国各地の地酒専門店有志とその趣旨に賛同する蔵元により1994年に設立。2019年現在、63件の会員酒販店と8の蔵元で構成されている。
http://www.shumonnokai.jp/
参加蔵は以下
・黒龍酒造(福井県)
・大澤酒造(明鏡止水/長野県)
・神沢川酒造場(正雪/静岡県)
・喜多酒造(喜楽長/滋賀県)
・墨廼江酒造(宮城県)
・麓井酒造(山形県)
・瀧自慢酒造(三重県)
・初亀醸造
そして場所は「小学校」!
3331 Arts Chiyoda
https://www.3331.jp/
旧小学校を利用したアートスペースです。

普通のイベントだと「おいしい!」「酔った」で終わってしまうのですが、このイベントはひとあじ違います。

それは「お酒を学べる」ところ。出店蔵と主催酒販店の方々が協力し、ただの試飲ブースではない工夫がなされていました。

日曜の昼間から小学校(廃校)で酒をあびるほど飲むという、背徳感あふれるイベントを紹介します。

「試飲会」の基本
試飲会イベントは「提供者(酒蔵・メーカー)」ごとにブースを構え、訪れた人にお酒を注ぐというスタイルが多いです。参加者はグラス片手に、気になるブースを巡っては飲み、巡っては飲みを繰り返します。

大人が夢中になる酒蔵スタンプラリー!

会場でまずもらえるのはこちら。ブースを回りながら、日本酒にまつわる「講義」を聞くとスタンプをもらえるシステムです。

すごい顔出しパネル発見

僕の心を捉えたのがこちらの「8蔵のお偉いさんと並べる」顔出しパネル。
会場の一角は「撮影スポット」となっており、このパネルのほかにも各蔵の法被を着て写真を取れるようになっていました。

本当はパネルやりたかった、まだ素面だったのでできなかった…

レポート① 「酒米ご飯」の味は?

墨廼江酒造(宮城県)
ブースのテーマは「酒米」。いつも食べている飯米との違いはうっすら知っていても、実際に見る機会はあまりありません。試飲をしつつ「炊きたて酒米」をいただきました。

こんな感じで、炊きたてをラップに包んでくばっていました。

感想は…「ねちゃねちゃ」してました。
水分が多くなるのか、飯米の「粒が立つ」と感覚はゼロ。けれど普通においしいです。お酒では黒ラベルの「SoLiD」が好みでした。

レポート② 黒龍は「貴醸酒」! おかわり必至の「炭酸貴醸酒」

続いては、福井県の雄・黒龍。こちらのテーマは「貴醸酒」

貴醸酒とは、お酒を仕込むとき(主に最終段階の留仕込み)に、水ではなく「酒」を使う…とはなんとなく知ってはいたものの、実際に造り手の話を聞くと面白いです。黒龍さんでは「純米吟醸」をベースとしており、留仕込みでさらに「純米吟醸」の原酒を投入しているのだとか。

うん、すごいおいしいですもん。いいお酒です。

貴醸酒の新しい飲み方として提案していたのが「炭酸注入」

これがもう、本当においしかった。黒龍の濃厚で上品な甘みが炭酸でしゅわしゅわと口内をかけめぐります。お酒ではあまり言わない「無限にいける」ヤバさがあります。

レポート③ 正雪では「麹」を実食!

神沢川酒造場(正雪/静岡県)のテーマは「麹」
ここでは実際に麹のついたお米を試食。穀物系のほのかな甘さがあり、意外とイケます。お酒は「超辛口」を謳った「Vertex」が好みでした。


レポート④ 蔵人お手製の「御燗」を飲む贅沢

明鏡止水は「温度」がテーマ。
「同じお酒を温度を変えて2回試飲」できるとあって、ブースは常に大人気。
温度で味が「開く」瞬間を驚きをもって体感できました。

レポート⑤ 麓井酒造の「精米」は、米の量に驚き!

純米吟醸は60%以下、純米大吟醸は50%以下…お米をどれくらい削ればどのクラスのお酒になるのかは知っていても、それが「造り手」にとってどれだけ影響を与えるのかはなかなかわかりません。

ずばっと教えてくれたのが麓井酒造さんのブース
「精米歩合ごとに、1本のお酒を造るために必要なお米の量」がひと目でわかります。純米大吟醸(左の2瓶分)は純米酒(中央)の倍以上のお米が必要…そりゃあ高いはずだ、と実感できます。

レポート⑥ ベストスピーカーは「水」の初亀

今回はイベントはただ「飲む」のでなく「学びを得る」というテーマがあるため、各ブースで蔵の方が「説明」をしてくれます。「ベストスピーカー」だと感じたのが初亀醸造(静岡県)さん

テーマは「水」。仕込み水と、実際にそれで造ったお酒を比較しつつ「水の重要性」を教えてくれました。小気味好いトークで場をもりあげつつ、質問には真摯に答える。ずっと聞いていたいくらい楽しいブースでした。

(水に鉄分が入っていると酒が「赤く」なるらしいです!)

初亀の仕込み水。もう本当になめらかで、奥行きもあって、なんなら水で酒が飲めるほどでした。

※ちなみにこのイベントではほどんどのブースで「仕込み水」を飲むことができ、その違いをみるのも面白かったです。

レポート⑦飲み疲れたら校庭をながめてひとやすみ

ずっと飲み比べをしていると、さすがにつかれてきます。そんなときは、小学校という立地をいかして、外の風をあびながら校庭をながめると復活できます。

と、同時に「ああ、まだ昼間なんだ」と現実に戻してくれます。

主催のかたが顔出しパネルを勧めて小学校の中をまわっていました。あんまり撮られなかったのかな。


スタンプラリー完全制覇!

書けたのはごく一部ですが、しっかりスタンプラリーを制覇。酒門の会の酒販店でつかえるクーポンをいただきました。

次に「つなげる」イベントに期待!

日本酒イベントの問題として「消費に繋がらない」ということをよく耳にします。その場だけ楽しんでも、その後の消費行動に移っていないのだとか。

お酒はイベントの時だけ飲む。
集客に成功しても、それでは消費拡大には繋がりません。

この会は「酒門の会」主催とあり、いかに「これからの消費」につなげるか「お酒の奥深さに触れられるか」を意識していた点が印象的でした。
(酒門の会限定お酒を試飲できたりとかしました。買いたい…)

日本酒イベントは多様化して飽和状態になってきていますが、こういう意図や工夫のあるイベントが広がることを応援しています。最後に、酒門の会を支える加盟酒販店さんへの敬意をこめ、一覧を記します。

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ごちそうさまでした!

もちろん、お酒を飲みます。